Description of a work (作品の解説)
2009/02/08掲載
Work figure (作品図)
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素描する若い学生(素描する画学生)


(Un jeune écolier qui dessine) 1735-1738年頃
19.5×17.5cm | 油彩・板 | ストックホルム国立美術館

18世紀のフランス絵画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンが手がけた小品『素描する若い学生(素描する画学生)』。かつては『芸術の基礎』とも呼称されていた本作は、おそらくアントワーヌ・ド・ラ・ロックの依頼により『刺繍する女(綴り織りをする女)』と共に制作された作品で、双方とも1738年にはサロンへ出品されている。本作に描かれる床に直座りした若い画家は背中に小さな破れ(そこから赤い衣服)がある粗末な外套に身を包みながら、一心に壁に貼られた裸体素描を模写している。一方、対画となる『刺繍する女(綴り織りをする女)』では若い婦人が椅子に腰掛けながら視線を落とし細かい作業に没頭している。本対作品で描かれているのは紛れも無く素朴的で庶民的な作業や労働の姿であり、それらの取り組みには16〜17世紀のフランドル絵画の影響を感じさせる。さらに本作で注目すべき点は本作『素描する若い学生』、対画『刺繍する女(綴り織りをする女)』の対照性にある。本作では若い画家が床に座りながら観る者へと背を向ける姿態で描かれているのに対して、『刺繍する女』の方では観る者へと姿態を向けながら椅子に座る姿が描かれている。これらには明らかにシャルダンの意図を感じることができ、両作品を左右に並べた時には見事なシンメトリーが形成される。また色彩表現においても、小品ながらカルトン(画板)の間に僅かに覗く澄んだ青色や観る者の眼を惹きつける若い画家の朱色の衣服など細かい箇所まで計算を重ねながら効果的に配色されており、全体として極めて高い完成度を示している。なお本作は当時から好評を博していたようで、1742年、1743年、1757年と3度も版画化された記録が残されている。

関連:対画 『刺繍する女(綴り織りをする女)』


【全体図】
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壁に貼られた裸体素描を一心に模写する若い画家。かつては『芸術の基礎』とも呼称されていた本作は、おそらくアントワーヌ・ド・ラ・ロックの依頼により『刺繍する女』と共に制作された作品で、双方とも1738年にはサロンへ出品されている。



【裸体素描を一心に模写する若い画家】
簡素な壁に貼られた一枚の裸体素描。小品ながらカルトンの間に僅かに覗く澄んだ青色や観る者の眼を惹きつける若い画家の朱色の衣服など細かい箇所まで計算を重ねながら効果的に配色されており、全体として極めて高い完成度を示している。



【簡素な壁に貼られた一枚の裸体素描】
シャルダンの技量を感じさせる細かな筆捌き。素朴的で庶民的な作業や労働の姿が描かれる本作で注目すべき点は本作『素描する若い学生』、対画『刺繍する女』の対照性で、両作品を左右に並べた時には見事なシンメトリーが形成される。



【技量を感じさせる細かな筆捌き】

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