Description of a work (作品の解説)
2008/08/14掲載
Work figure (作品図)
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画家ジョゼフ・アヴェドの肖像


(Portrait du Peintre Joseph Aved) 1734年
138×105cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀ロココ様式時代のフランス絵画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダン代表的な肖像画作品のひとつ『画家ジョゼフ・アヴェドの肖像』。1737年のサロン出品時には『研究室で読書する科学者』、1745年のサロンへ再出品時には『読書の耽る哲学者』と呼称されていた本作は、画家の有力な庇護者(パトロン)のひとりであったコンラッド・アレクサンドル・ロータンブール伯爵の依頼で制作した≪画家ジョゼフ・アヴェド≫の肖像画である。本作に描かれるジョゼフ・アヴェドは風俗画を描くことをシャルダンに勧めた良き画家仲間のひとりであり、シャルダンが最初の妻マルグリット・サンタールと死別した後、フランソワーズ・マルグリット・プージェと再婚した際の証人(立会人)ともなった人物で、シャルダンと非常に親しい間柄であった。本作が完成して間もなく依頼主であるロータンブール伯爵が死去した為に画家の手元に残された本作は、思想的なジョゼフ・アヴェドの人物表現や内向的描写、哲学者を思わせる独特の衣服などの共通点から、しばしば批評家達に17世紀オランダ絵画黄金期の巨匠レンブラント・ファン・レインの肖像画と比較されており(ジョゼフ・アヴェドは若い頃にアムステルダムで絵画を学んでおり、同地の作風に影響を受けていた)、本作中に描かれる砂時計や羽根ペン、多くの書物、画面上部の研究道具などは、成功しない無益な学問探求の虚しさや生の儚さなどを象徴しているとされている。しかしながら本作にはシャルダンが抱いていた友人ジョゼフ・アヴェドへの尊敬と賛辞が明確に示されているほか、柔らかい明暗対比や衣服の赤色(暖色)と円卓の青緑色、画面右側のカーテンの紺色など寒色との色彩的対比、肖像画としての神秘性など表現手法においても批評家たちから称賛を受けている。


【全体図】
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読書に耽る画家ジョゼフ・アヴェドの姿。ジョゼフ・アヴェドは風俗画を描くことをシャルダンに勧めた良き画家仲間のひとりであり、シャルダンが最初の妻マルグリット・サンタールと死別した後、フランソワーズ・マルグリット・プージェと再婚した際の証人ともなった人物で、シャルダンと非常に親しい間柄であった。



【読書に耽る画家ジョゼフ・アヴェド】
書物を照らす光の明瞭な表現。本作は画家の有力な庇護者(パトロン)のひとりであったロータンブール伯爵の依頼で制作した画家ジョゼフ・アヴェドの肖像画で、1737年のサロン出品時には『研究室で読書する科学者』、1745年のサロンへ再出品時には『読書の耽る哲学者』と呼称されていた。



【書物を照らす光の明瞭な表現】
本作中に描かれる砂時計や羽根ペン。本作中に描かれる砂時計や羽根ペン、多くの書物、画面上部の研究道具などは、成功しない無益な学問探求の虚しさや生の儚さなどを象徴しているとされている。



【本作中に描かれる砂時計や羽根ペン】

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