Description of a work (作品の解説)
2009/02/16掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィア、サン・ヴィオ広場とカナル・グランデ(大運河、サン・ヴィオ広場より東を望む)

 (Der Canal Grande mit dem Campo san vio in Venedig) 1722-23年頃
65.5×97.5cm | 油彩・画布 | ドレスデン国立絵画館

18世紀イタリアで活躍した稀代の景観画家カナレット最初期の重要な作品のひとつ『ヴェネツィア、サン・ヴィオ広場とカナル・グランデ(大運河、サン・ヴィオ広場より東を望む)』。ザクセン選帝侯のコレクションのひとつとして北方へと渡った本作は、カナレットの故郷ヴェネツィアのカナル・グランデ(大運河)をサン・ヴィオ広場方面より東側へと向けられた視点で制作された、画家の画業における最初期に分類されるヴェドゥータ(景観図)作品のひとつである。画面手前右側にはパラツィオ・バルバリーゴへとつながるサン・ヴィオ広場と船着場が丹念な筆触によって配されているが、中でも特に注目すべき点は建物の壁に描き込まれた一隻の小船の絵である。カナレットは本作以外にもマドリッドのティッセン=ボルネミッサ・コレクション所蔵となる同主題の作品を始め、本景観を少なくとも12点制作していることが既に知られているが、本作以外に小船の絵の描写は認められない。この絵が商業組合的な意味合いを持つのか、それとも単なる落書きとして描き込まれたのかは未だに不明であるものの、他の作品との明確な差異である点においては特に重要視されている。また画面右側にはパラツィオ・コルネール・デラ・カ・グランデが悠々とした姿で配されており、特に影の落ちる側面部の巨大感と重厚感は観る者の眼を強く惹きつける。さらに画面左側奥には建物の間からサンタ・マリア・デラサルーテ聖堂の円蓋が覗いており、画面内へ形状的な変化を齎している。本作の細密的な各構成要素の描写や大気的な表現、内側へと自然に向けられるよう仕向けられた構図と構成などにはカナレットの典型を強く感じさせる。


【全体図】
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船着場から荷物を運ぶサン・ヴィオ広場の人々。カナレットは本作以外にもマドリッドのティッセン=ボルネミッサ・コレクション所蔵となる同主題の作品を始め、本景観を少なくとも12点制作していることが既に知られているが、本作以外に小船の絵の描写は認められない。



【荷物を運ぶサン・ヴィオ広場の人々】
丹念に描き込まれるパラツィオ・コルネール・デラ・カ・グランデ前の人々。本作はカナレットの故郷ヴェネツィアのカナル・グランデ(大運河)をサン・ヴィオ広場方面より東側へと向けられた視点で制作された、画家の画業における最初期に分類されるヴェドゥータ(景観図)作品のひとつである。



【丹念に描き込まれる建物と人々】
建物の間から覗くサンタ・マリア・デラサルーテ聖堂の円蓋。ザクセン選帝侯のコレクションのひとつとして北方へと渡った本作の細密的な各構成要素の描写や大気的な表現、内側へと自然に向けられるよう仕向けられた構図と構成などにはカナレットの典型を強く感じさせる。



【サンタ・マリア・デラサルーテ聖堂】

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