Description of a work (作品の解説)
2008/09/27掲載
Work figure (作品図)
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サン・ヴィダルの石工工房(石工の仕事場)


(Laboratorio dei marmi a San Vidal) 1727-30年頃
124×163cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

18世紀イタリア最高の景観画家カナレット随一の代表作『サン・ヴィダルの石工工房(石工の仕事場)』。おそらく英国からの観光客のために数多く制作された景観図作品の中の1点である本作は、イタリア北東部に位置する欧州有数の共和国家であり、カナレットの故郷でもあるヴェネツィアのサン・ヴィダルの大理石細工所からサンタ・マリア・デラ・カリタ聖堂と同信会館へと向けた視点で制作されている。画面前景には無数の大理石が散乱する石工工房(大理石細工所)と、そこで労働に勤しむ石細工職人、そしてその家族らの日常的(風俗的)な光景が情感豊かに描かれている。一方、遠景として、現在、アカデミア美術館として使用されるなど同時代のヴェネツィアを代表する建築物でもある(※1741年に鐘楼が倒壊したことでも知られている)サンタ・マリア・デラ・カリタ聖堂と同信会館が運河を挟み画面奥へ描かれており、さらにその上空には開放感に溢れた空が荒涼と表現されている。本作に示される、1720年代後半のカナレットの特徴である(英国の顧客好みの)明暗対比の大きな光の描写や、まるで舞台の背景を思わせる壮大で雄弁的な眺望表現によって観る者を強く惹きつける(景観全体で醸し出された)迫真性は、他の作品には類が無いほど秀逸の出来栄えであり、細密に再現された極めて写実性の高い風景処理や、「都市の肖像画」とも称賛された匂いすらも感じさせる圧倒的な大気感の表現と共に、画家の最高傑作のひとつとして広く認知されている。


【全体図】
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石工工房で働く石細工職人の光景。おそらく英国からの観光客のために数多く制作された景観図作品の中の1点である本作の画面前景には無数の大理石が散乱する石工工房(大理石細工所)と、そこで労働に勤しむ石細工職人、そしてその家族らの日常的(風俗的)な光景が情感豊かに描かれている。



【石工工房で働く石細工職人の光景】
サンタ・マリア・デラ・カリタ聖堂の鐘楼。遠景として、現在、アカデミア美術館として使用されるなど同時代のヴェネツィアを代表する建築物でもあるサンタ・マリア・デラ・カリタ聖堂と同信会館が運河を挟み画面奥へ描かれており、さらにその上空には開放感に溢れた空が荒涼と表現されている。



【サンタ・マリア・デラ・カリタ聖堂の鐘楼】
細密に再現された極めて写実性の高い描写処理。1720年代後半のカナレットの特徴である明暗対比の大きな光の描写や、まるで舞台の背景を思わせる壮大で雄弁的な眺望表現によって観る者を強く惹きつける(景観全体で醸し出された)迫真性は、他の作品には類が無いほど秀逸の出来栄えである。



【極めて写実性の高い描写処理】

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