Description of a work (作品の解説)
2009/08/24掲載
Work figure (作品図)
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南西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場


(Piazza San Marco, verso la Basilica, dall'angolo) 1756年頃
45×35cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

18世紀イタリアを代表する景観画家カナレット晩年期の重要な作品『南西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場』。本作はカナレットが10年にも及んだ英国滞在から故郷ヴェネツィアへ帰郷後に制作された作品の中の1点で、サン・マルコ広間の南西の角となる新行政府庁舎の歩廊からサン・マルコ大聖堂側(東側)を眺める視線で制作されているのが大きな特徴である。対の作品として(サン・マルコ広間の)北西側から大聖堂を眺めた『北西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場』も制作されている本作では、画面最前景には新行政府庁舎の歩廊で会話を交わす身なりの良い3人の男が配されており、その内、立っている男性はコーヒーカップを持っている。サン・マルコ広場には当時、人々の社交場として機能していた、カフェ・ラテ発祥の地としても名高い1720年創業のカフェ・フロリアンが営業(現在も営業している)しており、そこへ立ち寄ってきたことが安易に連想することができる。中景から遠景にかけては画面左側へはサン・マルコ広場と大聖堂が、右側には長く続く歩廊が綿密な筆捌きで描き込まれており、当時のヴェネツィアの様子がありありと伝わってくる。本作で最も注目すべき点は歩廊の支柱によって左右へ分断された非常に大胆な構図にある。広場側(画面左側)の空間は開放感と明瞭的色彩を、歩廊側(画面右側)は閉塞感と強い明暗対比を生み出しており、この明確なコントラストによって観る者に鮮明な印象を与えることに成功しているだけではなく、構造的理解の説明的な側面としても機能している。

対画:『北西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場』


【全体図】
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熱心に会話を交わす男たち。本作はカナレットが10年にも及んだ英国滞在から故郷ヴェネツィアへ帰郷後に制作された作品の中の1点で、サン・マルコ広間の南西の角となる新行政府庁舎の歩廊からサン・マルコ大聖堂側(東側)を眺める視線で制作されているのが大きな特徴である。



【熱心に会話を交わす男たち】
開放的な印象を与えるサン・マルコ広場。対の作品として(サン・マルコ広間の)北西側から大聖堂を眺めた『北西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場』も制作されている本作では、画面最前景には新行政府庁舎の歩廊で会話を交わす身なりの良い3人の男が配されており、その内、立っている男性はコーヒーカップを持っている。



【開放的な印象のサン・マルコ広場】
綿密な筆致で描き込まれるサン・マルコ大聖堂。広場側(画面左側)の空間は開放感と明瞭的色彩を、歩廊側(画面右側)は閉塞感と強い明暗対比を生み出しており、この明確なコントラストによって観る者に鮮明な印象を与えることに成功している。



【綿密な筆致のサン・マルコ大聖堂】

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