Description of a work (作品の解説)
2009/08/12掲載
Work figure (作品図)
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サン・ピエトロの宵祭り(ヴィジリア・ディ・サン・ピエトロ)


(Night Festival at St.Pietro di Castello) 1755-56年頃
119×187cm | 油彩・画布 | ベルリン国立美術館

稀代の景観画家カナレット晩年期の傑作『サン・ピエトロの宵祭り(ヴィジリア・ディ・サン・ピエトロ)』。本作はカナレットが10年間にも及ぶ英国滞在を終え、故郷ヴェネツィアに帰郷した1756年頃に、貿易商ジギスムント・シュトライトの依頼によって制作された4点の作品の中の1点で、聖ペテロ、聖パウロの祝日である6月28日に開催される宵祭りの情景が描かれる夜景景観画である。画面前景にはヴェネツィア独特のゴンドラに乗りながら宵祭りを楽しむ貴族や民衆たちが情緒豊かに配されており、中景にはヴェネツィア共和国の総大司教も居住していたサン・ピエトロ・ディ・カステッロ聖堂が緻密な筆触によって丹念に描き込まれている。画面全体は夜の闇に包まれるものの、画面右上に配された皓々と輝く月の鮮明な光によって叙情性の高い明暗対比を示している。(本作の)写実性が際立つカナレットの高い描写技量や綿密に計算された構図・構成も特筆に値する出来栄えであるが、やはり本作においてはこの月光によるロマンチシズム的印象が漂う夜景の表現にある。遠方へと配される月が放つ光は本作の構成要素を逆光的に背後から照らし、闇の中へ溶け合わせるかのように柔らかく調和させている。さらに蒼白く輝く月の繊細な色彩と建物の赤褐色の対比は、色彩の印象を観る者へより強く植え付けることに成功している。


【全体図】
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闇夜を照らす月光の詩情的な表現。月光によるロマンチシズム的印象が漂う夜景の表現は本作の中でも特に注目すべき点であり、遠方へと配される月が放つ光は本作の構成要素を逆光的に背後から照らし、闇の中へ溶け合わせるかのように柔らかく調和させている。



【闇夜を照らす月光の詩情的な表現】
聖堂の前に集まる民衆たち。本作はカナレットが10年間にも及ぶ英国滞在を終え、故郷ヴェネツィアに帰郷した1756年頃に、貿易商ジギスムント・シュトライトの依頼によって制作された4点の作品の中の1点で、聖ペテロ、聖パウロの祝日である6月28日に開催される宵祭りの情景が描かれる夜景景観画である。



【聖堂の前に集まる民衆たち】
ゴンドラに乗り宵祭りを楽しむ貴族。画面前景にはヴェネツィア独特のゴンドラに乗りながら宵祭りを楽しむ貴族や民衆たちが情緒豊かに配されており、中景にはヴェネツィア共和国の総大司教も居住していたサン・ピエトロ・ディ・カステッロ聖堂が緻密な筆触によって丹念に描き込まれている。



【ゴンドラに乗り宵祭りを楽しむ貴族】

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