Description of a work (作品の解説)
2009/06/15掲載
Work figure (作品図)
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ブレンタ運河沿いのドーロ村(ブレンタ川のドロ水門)


(Le chiuse di Dolo sul Brenta) 1720年代後半〜1742年
80×95.3cm | 油彩・画布 | シュトゥットガルト州立美術館

18世紀欧州における最高の景観画家のひとりカナレットによる風景画作品『ブレンタ運河沿いのドーロ村(ブレンタ川のドロ水門)』。本作はヴェネツィアからパドヴァへとブレンタ川沿いに進んだ先にある小村≪ドーロ村≫の景観を描いた作品である。カナレットは甥ベルナルド・ベロットと共に1740年代初頭にパドヴァへと絵画旅行へ出発していることが知られており、一般的には本作もその旅行時に制作された習作に基づき制作されたと推測されていたものの、近年では様式的特徴から1720年代末頃に制作された作品であるとする説へと傾倒しつつある(※確固たる証拠は残らないものの、おそらくカナレットは1720年代にも同地方へ赴いていたとも推測されている)。本作に描かれるドーロ村は当時からあまり有名ではなく、画題としても馴染みが薄いものであったが、本作に描かれる同村の景観は非常に魅力的な印象を観る者に与える。画面前景から中景にかけて右側には水門や艇庫が、中央には旅行者と思われる身なりの良い婦人たちらの一団と村民と思われる古着の人々や、旅行者が乗っていたと考えられる船が、右側には民家やサン・ロッコ聖堂の鐘楼などが配されている。遠景となる画面中段から上部にかけてはドーロ村の眺望と開放感に溢れる青空が広がっている。本作で最も注目すべき点は、やはり最も観る者の目を惹きつける画面手前の旅行者の一団であろう。色鮮やかで豪奢な衣服を身に着ける婦人たちは日傘に護られながらドーロ村の穏やかな情景を楽しんでいる。この一団と村民の質素な姿との対比は絵画的に大きな効果を生み出しており、観る者の視線を自然に誘導させることに成功している。なおこの両者の対比には社会主義的な思想は含まれないと考えられている。


【全体図】
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ブレンタ川を行き交う船舶。本作はヴェネツィアからパドヴァへとブレンタ川沿いに進んだ先にある小村≪ドーロ村≫の景観を描いた作品で、ドーロ村は当時からあまり有名ではなく、画題としても馴染みが薄いものであったが、本作に描かれる同村の景観は非常に魅力的な印象を観る者に与える。



【ブレンタ川を行き交う船舶】
ドーロ村の景観を楽しむ旅行者の一団。本作で最も注目すべき点は、やはり最も観る者の目を惹きつける画面手前の旅行者の一団であろう。色鮮やかで豪奢な衣服を身に着ける婦人たちは日傘に護られながらドーロ村の穏やかな情景を楽しんでおり、この一団と村民の質素な姿との対比は絵画的に大きな効果を生み出している。



【ドーロ村の景観を楽しむ旅行者】
開放感に溢れる青空。カナレットは甥ベルナルド・ベロットと共に1740年代初頭にパドヴァへと絵画旅行へ出発していることが知られており、一般的には本作もその旅行時に制作された習作に基づき制作されたと推測されていたものの、近年では様式的特徴から1720年代末頃に制作された作品であるとする説へと傾倒しつつある。



【開放感に溢れる青空】

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