Description of a work (作品の解説)
2008/12/29掲載
Work figure (作品図)
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サン・ロッコ聖堂とサン・ロッコ同信会館を訪れるヴェネツィア提督

(Corteo dogale alla chiesa di San Rocco)1735年頃
147×199cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

18世紀イタリアのみならず、同時代の欧州を代表する景観画家カナレットの重要な作品『サン・ロッコ聖堂とサン・ロッコ同信会館を訪れるヴェネツィア提督』。本作はヴェネツィアのサン・ロッコ聖堂(本作中で画面最右に描かれる建物)で毎年8月16日におこなわれる聖クロスの祭典を終えた人々の情景を描いた作品である。聖クロスの祭典とは、14世紀後半にヴェネツィアで疫病が蔓延するものの、聖クロスの奇跡によって救われたとする逸話に由来する行事で、サン・ロッコ聖堂には聖クロスの遺体も保管されている。画面中央下部やや左側に金色の長衣と白貂の毛皮を身に着けたヴェネツィア提督が描かれ、その周囲にはサン・ロッコ同信会館総長(提督の右に配される黒衣の男)や書記官長(緋色の衣服を身に着けた男)、秘書官(藤色の衣服を纏った男)、元老院議員などが細密な描写で描き込まれている。彼らの手には花束が握られているが、これは花の香りが疫病から身を守ると信じられていたことに由来する。また画面正面のサン・ロッコ同信会館前の広場は花や絵画で装飾されているが、これらは絵画展示会場も兼ねていた(カナレット自身、この会場で絵画を販売していたことが記録に残されている)。本作の明瞭な光源処理による明暗を強調した情景表現や空気感を感じさせる大気的な風景描写、そして表情や姿態を容易に確認することができるほど丁寧に描き込まれた緻密な筆触などにはカナレットの表現様式が良く表れており、今も観る者を感動させる。


【全体図】
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聖クロスの祭典を終えたヴェネツィア提督一行。画面中央下部やや左側に金色の長衣と白貂の毛皮を身に着けたヴェネツィア提督が描かれ、その周囲にはサン・ロッコ同信会館総長(提督の右に配される黒衣の男)や書記官長(緋色の衣服を身に着けた男)、秘書官(藤色の衣服を纏った男)、元老院議員などが細密な描写で描き込まれている。



【祭典を終えたヴェネツィア提督一行】
サン・ロッコ同信会館前に飾られる絵画。画面正面のサン・ロッコ同信会館前の広場は花や絵画で装飾されているが、これらは絵画展示会場も兼ねていた(カナレット自身、この会場で絵画を販売していたことが記録に残されている)。



【同信会館前に飾られる絵画】
空気感を感じさせる大気的な風景描写。本作はヴェネツィアのサン・ロッコ聖堂(本作中で画面最右に描かれる建物)で毎年8月16日におこなわれる聖クロスの祭典(14世紀後半にヴェネツィアで疫病が蔓延するものの、聖クロスの奇跡によって救われたとする逸話に由来)を終えた人々の情景を描いた作品である。



【大気的な風景描写】

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