Description of a work (作品の解説)
2009/07/31掲載
Work figure (作品図)
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カプリッチョ:ピアツェッタに置かれたサン・マルコ大聖堂の青銅馬

 (Capriccio con i cavalli della Basilica di San Marco posti sulla Piazzetta) 1743年頃
108×129.5cm | 油彩・画布 | ウィンザー城王室コレクション

18世紀イタリア最高の景観画家カナレットを代表する奇想画作品のひとつ『カプリッチョ:ピアツェッタに置かれたサン・マルコ大聖堂の青銅馬』。『サン・マルコ小広場に並ぶ聖マルコの馬』『4頭のブロンズの馬のあるサン・マルコ小広場』とも呼ばれる本作は、1743年から翌44年にかけて領事スミス氏の依頼により制作された13点の景観画の1点である。本作はヴェネツィアの人々にとって最も重要なサン・マルコ大聖堂前の広場を舞台とした景観であるが、作品の名称ともなっている四頭のブロンズ(青銅)製の馬は、描かれた1740年代前半当時には同場所に存在せず、画家の想像(空想)によって構成された。この点がカプリッチョ(奇想画)と呼ばれる所以である(この青銅馬自体は存在しており、古代に制作されたと推測されているようその価値は非常に高く、彼のナポレオンがヴェネツィアを占領した際に持ち去ったという逸話も残されている※1815年にヴェネツィアへ返却された)。本作においては四頭の青銅馬はサン・マルコ小広場の前へ秩序正しく一列に並べられており、青銅馬に集まる周囲の人々の関心を誘っている。画面構成としては左から右へと視線を動かすにつれ遠方へと自然に向かうよう、奥行きを感じさせる遠近法が巧みに使用されており、さらにその終着地点から開放的な空へとつながる上方への視線誘導は見事の一言である。また本作の色彩表現に注目しても、青銅馬や建物に用いられる褐色的な色彩と、清々しい青空や風の流れを感じさせる流動的な雲の白色との色度的対比は優れた出来栄えを示している。


【全体図】
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想像によって配される青銅製の馬像。四頭のブロンズ(青銅)製の馬は、描かれた1740年代前半当時には同場所に存在せず、画家の想像(空想)によって構成された。この点がカプリッチョ(奇想画)と呼ばれる所以である。



【想像によって配される青銅製の馬像】
青銅馬を見上げる周囲の人々。本作は1743年から翌44年にかけて領事スミス氏の依頼により制作された13点の景観画の1点で、ヴェネツィアの人々にとって最も重要なサン・マルコ大聖堂前の広場が舞台に設定されている。



【青銅馬を見上げる周囲の人々】
清々しい青空と流れる雲。本作の色彩表現に注目しても、青銅馬や建物に用いられる褐色的な色彩と、清々しい青空や風の流れを感じさせる流動的な雲の白色との色度的対比は優れた出来栄えを示している。



【清々しい青空と流れる雲】

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