Description of a work (作品の解説)
2008/10/18掲載
Work figure (作品図)
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サン・マルコのドック(東を望むサン・マルコ湾)


(Bacino di San Marco) 1738-40年頃
124.5×204.5cm | 油彩・画布 | ボストン美術館

稀代の景観画家カナレットが手がけた傑作中の傑作『サン・マルコのドック(東を望むサン・マルコ湾)』。おそらくは1738年頃から1740年頃にかけて制作されたと推測される本作は画家の故郷であるヴェネツィアのサン・マルコ湾の船渠(造船やその修理の為に建築された設備群)の光景を描いた作品であるが、驚くべきはその雄大な景観表現にある。近景として描かれるサン・マルコ湾には、そこを行き交う大小様々な帆船やヴェネツィア特有のゴンドラが情感豊かに配されており、水面には小さな白波が立っている。またヴェネツィアの街並みも画家の繊細で緻密な描写によって画面右側からサン・マルコ湾へ沿うように税関所や波止場(防波堤)、穀物倉、そして遠景にはカステッロ地区、6分の1街区、ジュッバ(ユダヤ人居住区)などを容易に確認できる。各構成要素は当時最も有力な顧客層のひとつであった英国貴族好みのやや明確な明暗対比によって表現されているものの、全体としては陽光の包み込むような光によって輝きに満ち溢れており、詩情的な情感を掻き立てる。さらに水平線を画面中央より低く設定し、広大な空を強調させることによって現実より空間が広がっているかのようなパノラマ的な眺望展開を画面の中で構築していることも特に注目すべき点のひとつである。


【全体図】
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サン・マルコ湾を行き交う帆船。おそらくは1738年頃から1740年頃にかけて制作されたと推測される本作は、画家の故郷であるヴェネツィアのサン・マルコ湾の船渠(造船やその修理の為に建築された設備群)の光景を描いた作品である。



【サン・マルコ湾を行き交う帆船】
水面に立つ小さな白波。雄大な景観表現が大きな特徴のひとつである本作の近景として描かれるサン・マルコ湾には、そこを行き交う大小様々な帆船やヴェネツィア特有のゴンドラが情感豊かに配されており、水面には小さな白波が立っている。



【水面に立つ小さな白波】
繊細かつ緻密な描写によって表現させるヴェネツィアの街並み。画面右側からサン・マルコ湾へ沿うように税関所や波止場(防波堤)、穀物倉、そして遠景にはカステッロ地区、6分の1街区、ジュッバ(ユダヤ人居住区)などを容易に確認できる。



【緻密に描写される街並み】
広大な空のパノラマ的な表現。各構成要素は有力な顧客層のひとつであった英国貴族好みのやや明確な明暗対比によって表現されているものの、全体としては陽光の包み込むような光によって輝きに満ち溢れており、詩情的な情感を掻き立てる。



【広大な空のパノラマ的な表現】

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