Description of a work (作品の解説)
2008/02/28掲載
Work figure (作品図)
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アイネイアスのために造った武器をウェヌスへ贈るウルカヌス

 (Vulcain présentant à Venus des armes pour Enée)
1757年 | 320×320cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロココ美術盛期の巨匠フランソワ・ブーシェの代表的な神話画作品のひとつ『アイネイアスのために造った武器をウェヌスへ贈るウルカヌス』。連作タピスリー≪神々の愛≫の原画(下絵)のひとつとして制作された本作に描かれるのは、古代ローマを代表する詩人ウェルギリウスによる傑作叙事詩『アイネイアス(アエネイス)』の第8巻に記される、火と鍛冶の神ウルカヌスが、美の女神ウェヌス(ヴィーナス)へ、その息子である(ラテン人との争いの為に武器が必要だった)アイネイアスのために造った武器(武具)を贈る場面である。ブーシェはキンベル美術館(フォートワース)が所蔵する作品を始め、本画題を複数取り組んでいたことが知られている(ルーヴル美術館にも本作以外に2点のヴァリアントが所蔵されている)。画面右下部分に配される火と鍛冶の神ウルカヌスが自らが大地の底で鍛えた一振りの剣を授けようと、美の女神ウェヌスへ差し出している。それを受ける画面中央に描かれた美の女神ウェヌスは、三人の従者とキューピッド、そしてウェヌスを象徴する八羽の鳩を伴い、ウルカヌスの方を向きながら微笑んでいる。やや人工的かつ芝居的でありながら、軽快で装飾的な本作の場面表現は、ロココ様式の典型であり、それを踏襲しながらも本作には画家の(本場面に対する)独自性も感じられる。また輝くような光や甘美な官能性に溢れた人体描写にも、画家の画風が良く示されている。

関連:キンベル美術館所蔵の別ヴァージョン作品


【全体図】
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ウルカヌスの方へ視線を落す美の女神ウェヌス。連作タピスリー≪神々の愛≫の原画(下絵)のひとつとして制作された本作に描かれるのは、古代ローマを代表する詩人ウェルギリウスによる傑作叙事詩『アイネイアス』の第8巻に記される場面である。



【視線を落す美の女神ウェヌス】
ウェヌスに剣を授ける火と鍛冶の神ウルカヌス。火と鍛冶の神ウルカヌスが自らが大地の底で鍛えた一振りの剣を授けようと、美の女神ウェヌスへ差し出し、それを受ける美の女神ウェヌスは、三人の従者とキューピッド、そしてウェヌスを象徴する八羽の鳩を伴い、ウルカヌスの方を向きながら微笑んでいる。



【剣を授ける火と鍛冶の神ウルカヌス】
ロココ様式の典型的な軽快で装飾的な表現。やや人工的かつ芝居的でありながら、軽快で装飾的な本作の場面表現は、ロココ様式の典型であり、それを踏襲しながらも本作には画家の(本場面に対する)独自性も感じられる。



【ロココ様式の軽快で装飾的表現】

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