Description of a work (作品の解説)
2008/07/02掲載
Work figure (作品図)
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眠る幼児キリスト(キリストの降誕)


(Sommeil de l'enfant Jésus) 1758年
117×89cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ)

18世紀ロココ最盛期の偉大なる画家フランソワ・ブーシェ晩年期の代表的な宗教画作品のひとつ『眠る幼児キリスト(キリストの降誕)』。1759年のサロン出品作である本作の主題は、父なる神の意思により降誕した神の子イエスと、幼子イエスを抱く聖母マリアを描く≪聖母子≫で、当時のフランスで最も著名な思想家(哲学者)のひとりであり、女帝エカテリーナ2世とも親交のあったドゥニ・ディドロも、(一部は批判的な意見を述べつつも)表現の点においては強く認める文章を残している。画面中央左側やや下に籠から出され聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエスがあどけない表情を浮かべており、聖母マリアは慈しむように我が子を抱きながら視線を画面の外へと向けている。さらにその反対側(画面中央右側)では永遠の生命や主イエスの血(聖餐時の葡萄酒に由来する)そしてイエス自身を意味する葡萄と、パンの原料となることから主イエスの受肉(聖体の象徴)を意味する麦を手にする洗礼者幼児聖ヨハネが聖母子を祝福するかのように寄り添っている。そして画面下部には一匹の子羊や聖ヨハネが持つ十字の杖などが配されており、画面上部にかけては演劇的な天蓋が仰々しく描かれている。ブーシェは画業の初期にアカデミーのコンクールへ宗教画を出品して以来、宗教画制作から遠退いていたものの、1750年代に再び宗教的主題に取り組むようになり、そこにはブーシェ独特の甘美性豊かなロココ様式的特長を残しつつも、敬虔かつ柔和な精神性が感じられるようになる。本作でもこれらブーシェ晩年期の宗教画世界の特徴が広がっており、その輝きは今なお色褪せず観る者を魅了し続ける。


【全体図】
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聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエス。1759年のサロン出品作である本作の主題は、父なる神の意思により降誕した神の子イエスと、幼子イエスを抱く聖母マリアを描く≪聖母子≫で、当時のフランスで最も著名な思想家(哲学者)のひとりドゥニ・ディドロも、表現の点においては強く認める文章を残している。



【聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエス】
視線を画面の外へと向ける聖母マリアの甘美な表情。画面中央左側やや下に籠から出され聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエスがあどけない表情を浮かべており、聖母マリアは慈しむように我が子を抱きながら視線を画面の外へと向けている。



【視線を画面の外へと向ける聖母マリア】
葡萄と麦の穂を手にする洗礼者幼児聖ヨハネ。聖ヨハネが手にする葡萄は永遠の生命や主イエスの血(聖餐時の葡萄酒に由来する)そしてイエス自身を、麦の穂はパンの原料となることから主イエスの受肉(聖体の象徴)を意味している。



【葡萄と麦の穂を手にする幼児聖ヨハネ】

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