Description of a work (作品の解説)
2009/08/02掲載
Work figure (作品図)
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ベルヴェデーレ宮から望むウィーンの情景


(Vienna dal Belvedere) 1758-60年頃
136×214cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

18世紀の景観画家ベルナルド・ベロット、ウィーン滞在期の代表作『ベルヴェデーレ宮から望むウィーンの情景』。本作はハプスブルク家君主であった女帝マリア・テレジアの招きによりオーストリアのウィーンで制作活動をおこなっていた頃に制作された作品で、女帝マリア・テレジアから直接依頼されたウィーンの景観画である。本作に描かれる風景はオーストリアを代表するバロック様式の宮殿≪ベルヴェデーレ宮(※現在はオーストリア絵画館として運営されている)≫から眺めた同都市の景観であるが、やや冗長的である実際の風景と比較してみると、風景全体が凝縮されたかのように引き締められ、調和性と美的印象が大幅に改善されるなど、画家が大規模な理想化を図っていることが認められる。画面前景にはベルヴェデーレ宮殿の庭園が奥行きを強く感じさせる遠近法によって描写されており、中景には陽光によって美しく輝くウィーンの街並みが広がっている。さらに遠景として小高い山々や、観る者に詩情性を抱かせる雄弁で印象的な灰雲が風に流される様子が描写されている。本作の観る者を強く惹きつける非常に精緻で圧倒的な写実的描写は、ベルナルド・ベロットより先に諸外国に名を轟かせていた師カナレットの作品と比較しても遜色のない出来栄えを示しており、その依頼主や意図は不明な点は多いものの、事実として本作にはベルナルド・ベロットの手によってカナレットの名が署名されている。


【全体図】
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ベルヴェデーレ宮の前の庭園に屯う貴族たち。本作はハプスブルク家君主であった女帝マリア・テレジアの招きによりオーストリアのウィーンで制作活動をおこなっていた頃に制作された作品で、同女史から直接依頼されたウィーンの景観画である。



【庭園に屯う貴族たち】
理想化されたウィーンの街並み。本作はウィーンのベルヴェデーレ宮から眺めた同都市の景観であるが、やや冗長的である実際の風景と比較してみると、風景全体が凝縮されたかのように引き締められ、調和性と美的印象が大幅に改善されるなど、画家が大規模な理想化を図っていることが認められる。



【理想化されたウィーンの街並み】
緻密な筆捌きで描写される人々の様子。本作は師カナレットの作品と比較しても遜色のない出来栄えを示しており、その依頼主や意図は不明な点は多いものの、事実として本作にはベルナルド・ベロットの手によってカナレットの名が署名されている。



【緻密な筆捌きで描写される人々】

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