ティツィアーノが手がけた神話画中、最も有名な作品のひとつである『ヴィーナスへの捧げもの』、通称キューピッドたち。本作はフェラーラ公アルフォンソ・デステが城内を装飾するために制作を依頼し描かれた作品で、当初は他の画家がこの主題を描く予定だったが、他界してしまった為に、ティツィアーノへ委囑された経緯があることが記録に残されている。本作の主題はナポリ郊外にあるギリシャ人別荘に伝わる古典絵画の修辞的な叙情から採られており、ティツィアーノはそれに忠実に従い、彫像となっているヴィーナスのためにキューピッドたちがリンゴを集める場面が描いた。またある者は踊り、ある者は走り回り、そしてある者は眠りにつきながら、黄金や赤色のリンゴを集めるキューピッドたちの愛らしい姿を、ティツィアーノが美しい庭園風景の中に描いた傑作である本作に関しては、バロック絵画の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスも模写を残している。

関連：ルーベンスによる模写 『ヴィーナスへの捧げもの』

ヴィーナスの彫像。本作の主題はナポリ郊外にあるギリシャ人別荘に伝わる古典絵画の修辞的な叙情から採られており、ティツィアーノはそれに忠実に従い、彫像となっているヴィーナスのためにキューピッドたちがリンゴを集める場面が描いた。

ある者は踊り、ある者は走り回り、そしてある者は眠りにつきながら、黄金や赤色のリンゴを集めるキューピッドたち。悪戯ものとしての意味も持つキューピッドの愛らしい姿を、画家は美しい庭園風景の中に描いた。