Description of a work (作品の解説)
2006/06/14掲載
Work figure (作品図)
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音楽の寓意(エラト)

 (Allegoria della Musica (Erato))
1500年頃 | 61×51cm | テンペラ・板 | ベルリン国立美術館

15世紀後半を代表するフィレンツェ派の画家フィリッピーノ・リッピが描いた寓意画の傑作『音楽の寓意(エラト)』。おそらく芸術の良き理解者であったロレンツォ・デ・メディチのために依頼され手がけられたと推測される本作に描かれるのは、美術、音楽、文学、歴史、哲学、天文学など幅広い知識活動を司る女神として人気の高かった、主神である≪ゼウス≫と記憶を意味するティタン族の≪ムネモシュネ≫の間に生まれた九人の娘≪ムサイ(単数形はムーサ、英語名ミューズ)≫の内、七番目の娘で「愛らしい人」とも呼ばれた恋愛叙情詩を司る≪エラト≫を描いたと解釈されている。幻想性や優雅な線描による甘美な人物表現などフィリッピーノ・リッピ独自の深い芸術性が本作には存分に示されており、また芸術都市フィレンツェにおいて画家が重要な位置にあったことが窺い知ることができる。天使の手にするほか画面の至る所に配される数々の楽器や天使と戯れる白鳥は女神≪エラト≫のアトリビュートであり、画面構成においても重要かつアクセントとして、全体を通し古典的な心地よい空間を作り出している。なお「愛らしい人」とも呼ばれた≪エラト≫が描かれる本作は、他の数名の画家たちも描いた≪ムサイ≫シリーズの一枚として制作された作品であると考えられている。


【全体図】
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優美な面持ちのエラト。おそらく芸術の良き理解者であったロレンツォ・デ・メディチのために依頼され手がけられたと推測される本作に描かれるのは、主神≪ゼウス≫と記憶を意味するティタン族の≪ムネモシュネ≫の間に生まれた九人の娘≪ムサイ≫の内、七番目の娘で「愛らしい人」とも呼ばれた恋愛叙情詩を司る≪エラト≫を描いたと解釈されている。



【優美な面持ちのエラト】
天使と戯れる白鳥。幻想性や優雅な線描による甘美な人物表現などフィリッピーノ・リッピ独自の深い芸術性が本作には存分に示されており、また芸術都市フィレンツェにおいて画家が重要な位置にあったことが窺い知ることができる。



【天使と戯れる白鳥】
楽器を手にする天使。天使の手にするほか画面の至る所に配される数々の楽器や天使と戯れる白鳥は女神≪エラト≫のアトリビュートであり、画面構成においても重要かつアクセントとして、全体を通し古典的な心地よい空間を作り出している。



【楽器を手にする天使】

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