Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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岩窟の聖母 ルーヴル版

 (Virgin of the Rocks)
1483-86年 | 199×122cm | 油彩・板 | ルーヴル美術館

言わずと知れたルネサンス期の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ不朽の祭壇画『岩窟の聖母』。ミラノ滞在時に手がけられた本作の主題は原罪(SEX)を犯さずにイエスを宿した聖母マリアの姿≪無原罪の御宿り≫と考えられているも、ヘロデ王が2歳以下の嬰児を虐殺するために放った兵士から逃れる為にエジプトへ逃避する場面≪嬰児虐殺≫とも解釈される傾向もある。このルーヴル美術館版は画面全てがレオナルドの真筆とされ、本来ならばミラノのサン・フランチェスコ・グランデ聖堂の礼拝堂を飾る作品であったが、当時、レオナルドとこの祭壇画の依頼主との間で作品の構成や報酬を巡りトラブルがあり、それを仲裁した(当時ミラノを治めていた)フランス王ルイ12世に、レオナルドが献上したとされる。本作では聖母マリアを中心に、左に幼児の姿をした洗礼者聖ヨハネ、右部分に祝福を与える幼子イエスと、大天使ウリエルを配されているが登場人物に神的人格の象徴である光輪が描かれていない点や、大天使ウリエルが人差し指で首を斬る仕草を示している点、洗礼者聖ヨハネと幼子イエスの明確な区別が為されていない点(通常、洗礼者聖ヨハネにはアトリビュートである獣の衣や十字の杖などが描かれる)などから祭壇画としての役割が果たせないとして、祭壇画の依頼主から受け取りを拒否されている。なお一部では大天使ウリエルが洗礼者聖ヨハネの守護天使であることから、洗礼者聖ヨハネが神の子イエスを祝福していると、洗礼者聖ヨハネと幼子イエスの解釈を逆とした異説が唱えられているも、確証は得ていない。

関連:ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵 『岩窟の聖母』


【全体図】
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【参考:National Gallery版部分】
←この美しいぼかしが入る光彩の加減が、聖母マリアの表情をより甘美で、不安気に照らし出している。



【聖母の拡大図】

【参考:National Gallery版部分】
←通常洗礼者聖ヨハネにはアトリビュートである獣の衣や十字の杖などが描かれるが、本作ではそれらは示されていない。



【聖ヨハネの拡大図】

【参考:National Gallery版部分】
←柔らかく表現された幼子イエスの姿からも、本作全面がレオナルドの真筆であることがうかがえる。



【幼子イエスの拡大図】

【参考:National Gallery版部分】
←ルーブル版では、大天使ウリエルはこちらを向き、幼い姿をした聖ヨハネを指差しており、人差し指で首を斬る仕草を示していると解釈された。



【天使の拡大図】

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