Description of a work (作品の解説)
2005/12/25掲載
Work figure (作品図)
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最後の晩餐

 Ultima Cena (Cenacolo)
1495-1497年 | 460×880cm | 油彩・テンペラ |
サンタ・マリア・デレ・グラツィエ聖堂修道院食堂(ミラノ)

レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』。ダ・ヴィンチが生涯に手がけた壁画のうち、現存する最も代表的な作品であり、当時のミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァ(ルドヴィコ・イル・モーロ)の依頼によりミラノのサンタ・マリア・デレ・グラツィエ聖堂修道院食堂の装飾画として制作された本作は、キリスト教美術において比較的古くから用いられ、修道院の食堂を装飾する絵画の主題として典型のひとつでもある≪最後の晩餐≫を描いたものであるが、単純に、通常示される教義≪聖体拝受(主によるパンと酒杯の拝受)≫を描いたものではなく、イエスが十二人の使徒に対し『この中に私を裏切るものがいる』と、裏切り者を指摘する、劇的な要素での登場人物の複雑な心理描写に重点が置かれている。また通常、この≪最後の晩餐≫は過越祭(ユダヤ教の祝日)におこなわれたとされていたことから、子羊料理が描かれるが、本作では魚料理が描かれたことが近年の修復作業によって判明した。本作は技巧的にも、壁画で通常用いられるフレスコは使用されず、油彩とテンペラによって描かれているため、完成後まもなく遜色が始まり、それに加え食堂が馬小屋として使用されたことで湿気に晒されたことや、第二次大戦での建物全壊(奇跡的に壁画は無傷)などが重なったことによって、壁画として保存状態が悪かった期間が長かった為、もはや、この傑作を原型のまま鑑賞することはできない。

関連:『最後の晩餐』登場人物配置図


【全体図】
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裏切り者がいることを指摘するイエス。主イエスが十二人の使徒に対し『この中に私を裏切るものがいる』と、裏切り者を指摘する劇的な要素での登場人物の複雑な心理描写に重点が置かれている本作は、それまでの宗教画的表現を大きく逸脱し、その後の美術に大きな影響を与えた。



【裏切り者がいることを指摘するイエス】
福音書記者聖ヨハネに問う聖ペトロ。左から主イエスを裏切ったイスカリオテのユダ、十二弟子の筆頭である聖ペトロ、福音書記者聖ヨハネ。またダヴィンチ・コードを始めとする各書では、この聖ヨハネを(密かにイエスと結婚をしていた)マグダラのマリアとする説が唱えられている。



【ユダ、聖ペトロ、福音書記者聖ヨハネ】
ユダの背後に描かれたナイフが握られる謎の手。本作で最も謎めいた描写のひとつである、この誰の手とも捉えることのできない謎の手の意図と解釈は、現在までに聖ペトロの手とする説など諸説唱えられ、今も研究が続けられているが確証を得るには至っていない。



【ナイフが握られる謎の手】
主イエスの言葉に身を乗り出す弟子達。左から生皮を剥がされ殉教した聖バルトロマイ、イエスの従兄弟とも言われる聖小ヤコブ、聖ペトロの実弟で兄と共に主イエスの最初の弟子となったガラリヤ出身の聖アンデレ。



【聖バルトロマイ、小ヤコブ、聖アンデレ】
主イエスによる裏切りの指摘に我かと問う弟子。左から主イエスや聖母マリアの復活を疑った逸話で有名な聖トマス、漁師ゼベダイの子で聖ヨハネの実兄である聖大ヤコブ、聖バルトロマイを主イエスに紹介した聖フィリポ。



【聖トマス、聖大ヤコブ、聖フィリポ】
盛んに議論する弟子たち。左から主イエスに召命されるまで収税吏をおこなっていた聖マタイ、磔刑後はシリアやメソポタミア等で布教活動をおこなった聖タダイ(聖ユダ・タダイ)、ローマ支配に抵抗した熱心党員であるカナン人の聖シモン。



【聖マタイ、聖タダイ、聖シモン】

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