Description of a work (作品の解説)
2011/03/15掲載
Work figure (作品図)
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聖アンナと聖母子(画稿・習作)


(Sant'Anna, la Madonna e il Bambino con l'agnllo)
1499-1500年頃 | 141.5×104.6 | 厚紙・木炭・鉛白
ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ルネサンス三大巨匠のひとりであり、万物の天才とも呼称される画家レオナルド・ダ・ヴィンチが残した秀逸的下絵習作『聖アンナと聖母子(画稿)』。本作は画家晩年期の最高傑作の1点と名高く、レオナルドが最後まで手放さなかったルーヴル美術館所蔵の『聖アンナと聖母子(1508-1510年)』に通じる、大凡10年ほど前に制作された画稿(下書き)である。画面上部に配される聖アンナは娘である聖母マリアへ慈愛的な眼差しを、聖母マリアはその胸に抱く幼子イエスへやや憂いを帯びた眼差しを向けており、三者の関係性を視線で表している。また神の子として降誕した幼子イエスは、同じく幼子の姿をした洗礼者聖ヨハネへ祝福の仕草を示しており、聖ヨハネは信仰深い眼差しを幼子イエスへ向けている。主題こそほぼ完成図とされる油彩画『聖アンナと聖母子』と同様≪謙譲の聖母子≫に聖アンナと洗礼者聖ヨハネを配しながら、大きく構図が異なる本作ではあるが、その量塊感や安定的な三角形の人物配置、そして登場人物らの複雑ながら豊かな表情描写は完成図と比較しても遜色なく、むしろ画稿ならではの勢いによる動感や深い陰影描写によって、より際立った印象を受ける。来歴として少なくとも1791年には英国のロイヤル・アカデミーに所蔵されていたことが知られている本作は、レオナルドが1482年から18年間滞在したミラノを離れる最後期に手がけられた画稿であるが、その表現手法に注目しても明確な線描(トスカーナ美術の典型として知られる)と立体感と光彩を独特に誇張したキアロスクーロ(明暗法)を用いた人物描写は、画家の卓越したデッサン力をよく示すものであり、今も観る者を驚かせると同時に強い感銘を与える。なお本作とは別に1501年フィレンツェのサンティッシマ・アヌンツィアータ修道院で公開された習作の存在が伝えられている。

関連:ルーヴル美術館所蔵 『聖アンナと聖母子』


【全体図】
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憂いを帯びた視線を向ける聖母マリア。本作は画家晩年期の最高傑作の1点と名高く、レオナルドが最後まで手放さなかったルーヴル美術館所蔵の『聖アンナと聖母子(1508-1510年)』に通じる、大凡10年ほど前に制作された画稿(下書き)である。



【憂いを帯びた聖母マリアの視線】
慈愛に満ちた聖アンナの眼差し。画面上部に配される聖アンナは娘である聖母マリアへ慈愛的な眼差しを、聖母マリアはその胸に抱く幼子イエスへやや憂いを帯びた眼差しを向けており、三者の関係性を視線で表している。



【慈愛に満ちた聖アンナの眼差し】
祝福の仕草を示す幼子イエス。本作のの量塊感や安定的な三角形の人物配置、そして登場人物らの複雑ながら豊かな表情描写は完成図と比較しても遜色なく、むしろ画稿ならではの勢いによる動感や深い陰影描写によって、より際立った印象を受ける。



【祝福の仕草を示す幼子イエス】
信仰深い眼差しを向ける洗礼者聖ヨハネ。本作の表現手法に注目しても明確な線描(トスカーナ美術の典型として知られる)と立体感と光彩を独特に誇張したキアロスクーロ(明暗法)を用いた人物描写は、画家の卓越したデッサン力をよく示すものであり、今も観る者を驚かせると同時に強い感銘を与える。



【信仰深い眼差しを向ける聖ヨハネ】

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