Description of a work (作品の解説)
2004/09/19掲載
Work figure (作品図)
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受胎告知

 (Annunciazione) 1472-1473年頃
98×217cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

レオナルド・ダ・ヴィンチ単独の制作による最も初期の作品『受胎告知』。フィレンツェ郊外のサン・パルトロメオ・ディ・モンテオリヴェート聖堂の旧蔵となる本作は、すでにレオナルドは独立はしていたものの、まだ画家の師であった彫刻家ヴェロッキオの工房で活動をおこなっていた1472-1473年頃に手がけられたと推測され、明確な記録等は残っていないが異論なく真筆であると認められている。本作の主題≪受胎告知≫は中世〜ゴシック期より最も多く描かれてきた宗教主題のひとつで、神の子イエスを宿す聖なる器として父なる神より選定され、聖胎したことを告げる大天使ガブリエルと、それを静粛に受ける聖母マリアの厳粛な場面である。祝福のポーズと共にマリアへキリストの受胎を告げる、神の使者大天使ガブリエル。聖母マリアの気品に満ちた穏やかな表情や、非常に写実的に描写される野草や床面、空気遠近法を用いた高度な場面・遠景表現など、画面からは20歳頃のレオナルドの豊かな才能が随所に垣間見れる。また書顕台に置かれる聖母マリアの右腕の明らかに異常な長さは、本作を右側(聖母マリア側)から閲覧することを前提としている為であるとの説も唱えられているほか、遠景の最も高い山は≪山の中の山≫として主イエスの象徴であるとの解釈もなされている。なおパリのルーヴル美術館には、かつてレオナルド・ダ・ヴィンチの作とされていたものの、現在ではレオナルドと同様ヴェロッキオの工房で学んでいたロレンツォ・ディ・クレディの作とされる『受胎告知』が所蔵されている。

関連:ルーヴル美術館所蔵 『受胎告知』


【全体図】
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聖胎を貞淑に受けとめる聖母マリアの姿。本主題『受胎告知』は中世〜ゴシック期より最も多く描かれてきた主題のひとつで、父なる神によって遣わされた大天使ガブリエルが主イエスの受胎を聖母マリアに聖告する場面である。



【聖胎を貞淑に受けとめる聖母マリア】
祝福のポーズと共に聖母マリアへキリストの受胎を告げる、神の使者大天使ガブリエル。卓越した表情の描写や画面の構成力、背景の遠近法など、最初期作品とはいえ、画面からは画家の豊かな才能が随所に垣間見れる。



【神の使者大天使ガブリエル】
遠近法が用いられて描かれた風景。フィレンツェ郊外のサン・パルトロメオ・ディ・モンテオリヴェート聖堂が旧蔵していた本作は、画家の師であったヴェロッキオの工房時代に描かれたとされ、記録等は残っていないが異論なく真筆であると認められている。



【遠近法が用いられて描かれた風景】
空気感に富んだ遠景。遠景の最も高い山は≪山の中の山≫として主イエスの象徴であるとの解釈もなされている。なおルーヴル美術館には、かつてレオナルドの作とされていたものの、現在ではロレンツォ・ディ・クレディの作とされる『受胎告知』が所蔵されている。



【空気感に富んだ遠景】

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