Description of a work (作品の解説)
2006/06/18掲載
Work figure (作品図)
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二人のヴェネツィア婦人(高級娼婦)

 1490年頃
(Due dame veneziane (Corigiane)) | 94×64cm
油彩・板 | コレル美術館(ヴェネツィア)

15世紀末〜16世紀初頭のヴェネツィア派を代表する画家ヴィトーレ・カルパッチョの謎多き代表作『二人のヴェネツィア婦人』。英国の批評家ラスキンによって19世紀に『高級娼婦』との誤名で紹介され広く知られることになった本作の制作目的は何であったか長い間不明であったが、L.A.のポール・ゲッティ美術館の調査によって同美術館が所蔵する『ラグーナ(潟)での狩猟』と本作『二人のヴェネツィア婦人(高級娼婦)』は元来、上下つながっていたことが判明し(参照:『二人のヴェネツィア婦人』合成図)、これと同様程度のサイズで反対部分を構成する未発見の作品と合わせ、扉絵として制作された可能性が高いと推測されている。本作に示される柔軟な光の描写や温和でありながら格調の高さが感じられる色彩表現、当時の建築学に基づいた遠近法の使用や空間構成、各所に配される小動物やプレーリ家の紋章が刻まれる花瓶などにヴィトーレ・カルパッチョの高度な技量と独自性による様式が表されている。

関連:ポール・ゲッティ美術館所蔵『ラグーナ(潟)での狩猟』
関連:『二人のヴェネツィア婦人』合成図


【全体図】
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高級娼婦とも解釈された端正な面持ちの婦人。本作の制作目的は何であったか長い間不明であったが、L.A.のポール・ゲッティ美術館の調査によって同美術館が所蔵する『ラグーナ(潟)での狩猟』と本作『二人のヴェネツィア婦人(高級娼婦)』は元来、上下つながっていたことが判明し(参照:『二人のヴェネツィア婦人』合成図)、これと同様程度のサイズで反対部分を構成する未発見の作品と合わせ、扉絵として制作された可能性が高いと推測されている。



【端正な面持ちの婦人】
温和でありながら格調の高さが感じられる色彩表現。本作に示される柔軟な光の描写や温和でありながら格調の高さが感じられる色彩表現、当時の建築学に基づいた遠近法の使用や空間構成、各所に配される小動物やプレーリ家の紋章が刻まれる花瓶などにヴィトーレ・カルパッチョの高度な技量と独自性による様式が表されている。



【格調の高さが感じられる色彩表現】
不自然に切断された百合の花と花瓶。この百合の花の断面が近年の調査によってポール・ゲッティ美術館所蔵の『ラグーナ(潟)での狩猟』に描かれる百合の花と一致したほか、これまで花瓶の紋章はヴェネツィア地方の名家トレッラ家のものと推測されてきたが、同調査によってヴェネツィアのプレーリ家のものであることが判明した。



【不自然に切断された百合の花と花瓶】

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