Description of a work (作品の解説)
2006/03/26掲載
Work figure (作品図)
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キリストの嘲笑

 (Cristo deriso) 1441-1443年
195×159cm | テンペラ | サン・マルコ美術館(フィレンツェ)

サン・マルコ修道院(現美術館)の壁面に描かれたフラ・アンジェリコの代表的壁画のひとつ『キリストの嘲笑』。サン・マルコ修道院の第七僧房に描かれた本作の主題は、逮捕された受難者イエスがユダヤの長老や学者、民衆達の前に晒され、大司祭カイアファに「お前は神の子か?」、「神の子ならば奇蹟を起こしてみせよ」と問われた後、偽証であるとし、民衆に磔刑を求められ嘲笑される場面≪キリストの嘲笑≫を描いたものであるが、本作において最も重要な点は、受難者イエスの超現実主義的手法によって象徴的に示される嘲笑表現にある。「誰であるか当ててみせよ」と強制的に目隠しをされ問われた受難者イエスを中心に、唾を吐きつける男の横顔や持っている木棒で殴りつける手など本主題でおこなわれたイエスへの仕打ちが非現実的な描写によって象徴的に示されている。このような信者(又は見る者)の瞑想性を感じさせる表現手法は当時としても非常に稀であり、敬虔で高潔な人物としても知られるフラ・アンジェリコの残した作品の中でも特に異質的な作品として、どの時代でも常に注目を受け続けてきた。なお画面下部には我が子イエスへの仕打ちを嘆く聖母マリアと、聖ドミニクスの姿が描かれている。


【全体図】
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人々より嘲笑される受難者イエス。本作の主題≪キリストの嘲笑≫は、逮捕された受難者イエスがユダヤの長老や学者、民衆達の前に晒され、大司祭カイアファに「お前は神の子か?」、「神の子ならば奇蹟を起こしてみせよ」と問われた後、偽証であるとし、民衆に磔刑を求められ嘲笑される場面を指す。



【人々より嘲笑される受難者イエス】
象徴的に描かれた人々の嘲笑場面。「誰であるか当ててみせよ」と強制的に目隠しをされ問われた受難者イエスを中心に、唾を吐きつける男の横顔や持っている木棒で殴りつける手など本主題でおこなわれたイエスへの仕打ちが非現実的な描写によって象徴的に示されている。



【象徴的に描かれた人々の嘲笑場面】
我が子への仕打ちを嘆く聖母マリア。本作のほか、『キリストの変容』などサン・マルコ修道院(現美術館)の壁面に描かれた壁画群はフィレンツェ派を代表するフラ・アンジェリコの傑作として広く人々に知られている。



【我が子への仕打ちを嘆く聖母マリア】
瞑想に耽る聖ドミニクス。サン・マルコ修道院の第七僧房に描かれた本作に示される非現実性は、信者(又は見る者)へ深い瞑想感覚を与えるほか、敬虔で高潔な人物としても知られるフラ・アンジェリコの残した作品の中でも特に異質的な作品として、どの時代でも常に注目を受け続けてきた。



【瞑想に耽る聖ドミニクス】

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