Description of a work (作品の解説)
2009/12/25掲載
Work figure (作品図)
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受胎告知

 (Annunciazione) 1430-32年頃
194×194cm | テンペラ・板 | プラド美術館(マドリッド)

15世紀イタリアルネサンス史に燦然と輝くフィレンツェ派の巨匠フラ・アンジェリコの代表作作『受胎告知』。フィレンツェ北部フィエゾーレのサン・ドメニコ聖堂の為に制作された祭壇画のひとつであると考えられている本作に描かれるのは、主イエスの生誕に纏わる逸話の中で最も有名な話のひとつである、新約聖書ルカ福音書第1章に記された、父なる神の大いなる意思により、聖母マリアに対して無原罪にて神の子イエスを宿したことを大天使ガブリエルが告げる場面≪受胎告知≫である。前景として画面中央からやや右側へ描かれる≪受胎告知≫の場面は、左(画面ほぼ中央)へ聖胎を告げる大天使ガブリエルを、右へ軽く驚きつつも聖告を貞淑に受け入れる聖母マリアを配しており、その神々しく後期国際ゴシック様式の厳格性に富んだ表現は観る者を強く惹きつける。さらに明確な輪郭線と黄金色の使用による説明的な場面描写が本主題の聖性をより強調する効果を発揮している。一方、後景として本作の左側へは神の命により禁断とされていた知恵の実(知識の実)を食したことにより楽園を追放される≪アダムとエヴァ≫の姿を描き込むことで、神の子イエスの正統性と絶対性を暗示させている。また細部の描写や仕上げなど表現手法に注目してみると、フラ・アンジェリコ当人のみの制作ではなく弟子又は工房の手が加わっていることがほぼ確定的な本作ではあるが、ルネサンスの到来を感じさせる室内などの遠近的表現や画面全体から放たれる輝くような色彩の美しさなど特筆すべき点は多い。なお画面下部のプレデッラ部分には≪聖母マリアの結婚≫から≪聖母の死≫までと聖母マリアの生涯が描かれている。

関連:1430年頃制作 グラツィエ修道院版 『受胎告知』
関連:1433-34年頃制作 司教区美術館版『受胎告知』
関連:1438-46年頃制作 サン・マルコ修道院版『受胎告知』


【全体図】
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聖母マリアへ受胎を告げる大天使ガブリエル。フィレンツェ北部フィエゾーレのサン・ドメニコ聖堂の為に制作された祭壇画のひとつであると考えられている本作に描かれるのは、主イエスの生誕に纏わる逸話の中で最も有名な話のひとつである、新約聖書ルカ福音書第1章に記された、父なる神の大いなる意思により、聖母マリアに対して無原罪にて神の子イエスを宿したことを大天使ガブリエルが告げる場面≪受胎告知≫である。



【受胎を告げる大天使ガブリエル】
貞淑に聖胎を受け入れる聖母マリア。前景として画面中央からやや右側へ描かれる≪受胎告知≫の場面は、左へ聖胎を告げる大天使ガブリエルを、右へ軽く驚きつつも聖告を貞淑に受け入れる聖母マリアを配しており、その神々しく後期国際ゴシック様式の厳格性に富んだ表現は観る者を強く惹きつける。



【貞淑に聖胎を受け入れる聖母マリア】
楽園を追放されるアダムとエヴァ。フラ・アンジェリコ当人のみの制作ではなく弟子又は工房の手が加わっていることがほぼ確定的な本作ではあるが、ルネサンスの到来を感じさせる室内などの遠近的表現や画面全体から放たれる輝くような色彩の美しさなど特筆すべき点は多い。



【楽園を追放されるアダムとエヴァ】

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