Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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オフィーリア

 (Ophelia) 1851-52年
76.2×111.8cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

幾多数えられるラファエル前派の絵画の中でも、傑作中の傑作として知られるジョン・エヴァレット・ミレイ屈指の代表作『オフィーリア』。本作に描かれるのは世界で最も著名な劇作家のひとり(英国出身の)ウィリアム・シェイクスピアが手がけた四大悲劇≪ハムレット≫第4幕7章の一場面である。本場面は、デンマーク王子ハムレットが、父を毒殺して母と結婚した叔父に復讐を誓うものの、その思索的な性格のためになかなか決行できず、その間に恋人オフィーリアを狂死に追いやってしまう(オフィーリアは小川で溺死してしまう)という内容で、ラファエル前派の画家やヴィクトリア朝の画家たちは同画題の作品を数多く制作している。ミレイもそれに則り本作を手がけたのであるが、後に同じラファエル前派の画家ロセッティの妻となったエリザベス・シッダルをモデルに、細密な写実描写で表現される死した(又は死の直前の)オフィーリアの姿は、生と死の狭間にあってなお神々しいまでの美しさに満ちている。また本作の背景はサリー州ユーエルに程近いホッグスミル川の風景を元にして描かれているが、自然主義的な美的理念に基づき本背景の中に描写される草花には象徴的な意味が込められている(ヤナギは見捨てられた愛、イラクサは苦悩、ヒナギクは無垢、パンジーは愛の虚しさ、首飾りのスミレは誠実・純潔・夭折、ケシの花は死を意味している)。なお画家の強い要望によりモデルを務めたエリザベス・シッダルは湯の張られたバスタブの中でポーズを取り続けた為に、ある日、風邪を拗らせてしまい、モデルの父親から治療費の支払いを請求されたという逸話も残されている。


【全体図】
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生と死の狭間にあってなお神々しいまでの美しさに満ちているオフィーリアの姿。本作に描かれるのは世界で最も著名な劇作家のひとり(英国出身の)ウィリアム・シェイクスピアが手がけた四大悲劇≪ハムレット≫第4幕7章の一場面である。



【神々しいまでに美しいオフィーリアの姿】
溺死したオフィーリアの力無い手。後に同じラファエル前派の画家ロセッティの妻となったエリザベス・シッダルをモデルに、細密な写実描写で表現される死した(又は死の直前の)オフィーリアの姿は、生と死の狭間にあってなお神々しいまでの美しさに満ちている。



【溺死したオフィーリアの力無い手】
小川の水面に揺らめく花々。自然主義的な美的理念に基づき本背景の中に描写されるヤナギは見捨てられた愛、イラクサは苦悩、ヒナギクは無垢、パンジーは愛の虚しさ、首飾りのスミレは誠実・純潔・夭折、ケシの花は死を意味している。



【小川の水面に揺らめく花々】

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