Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
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ピエール=アンリ・ド・ヴァランシエンヌ
Pierre-Henri de Valenciennes
1750-1819 | フランス | 新古典主義・風景画





18世紀フランス新古典主義を代表する風景画家。フランス伝統の理想的風景画に新古典主義的な(理知的な歴史)思想と表現を付与し、風景画家として名を馳せる。またイタリア旅行時に膨大な数が残された戸外での風景習作における、時と共に移りゆく陽光や自然の大気的描写や、上空が画面の2/3を占める開放的な空間表現などに示される神秘的な風景景観は、画家の表現様式的方向性がよく示されており、コローを始めとした19世紀フランス風景画の先駆として重要視されている。1750年、フランス南西部トゥールーズで生まれ、同地の王立アカデミーでジャン=バティスト・デパやギヨーム=ガブリエル・ブトンに絵画を学んだ後、1769年にイタリアへ赴く。帰国後、画家ガブリエル=フランソワ・ドワイヤンのアトリエへ入り、1777年に再びイタリアを訪れる。2度のイタリア訪問でフランス古典主義の画家ニコラ・プッサンクロード・ロランに多大な影響を受け理想的風景画に傾倒、また再帰国後、1781年にはパリでクロード=ジョセフ・ヴェルネに教えを受ける。1787年、王立絵画・彫刻アカデミーへ入会、1800年に著書「美術家のための実用遠近法提要」を刊行、同書は同時代(19世紀)の風景画家たちに多大な影響を与えた。1812年、パリ国立美術学校の遠近法教授に就き、1817年には念願であったローマ賞における≪歴史的風景画≫部門を実現した。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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アグリジェントの古代都市
(アグリゲントゥムの古代都市−構成された風景)


(Ancienne ville d'Agrigente) 1787年
110×164cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀を代表するフランスの風景画家ピエール=アンリ・ド・ヴァランシエンヌ新古典様式の代表作『アグリジェントの古代都市(アグリゲントゥムの古代都市−構成された風景)』。本作は画家が王立絵画・彫刻アカデミーへ入会した1787年に制作された、同年のサロンへも出品された風景画作品で、画題としてヴァランシエンヌがイタリア旅行で訪れたイタリア南部シチリア島南岸の都市アグリジェントの著名な考古遺跡(神殿の谷)の情景が描かれている。画面前景には当時の考古学に基づいた古代の衣服を身に纏う人々と朽ちた神殿跡が入念な筆捌きで描き込まれ、陽光に輝く河を挟んで中景には神殿遺跡群、さらに遠景には美しい山々とうねりを帯びる雲翳が広がっている。画家が2度のイタリア訪問で強く影響を受けた17世紀フランス古典主義の最も重要な風景画家クロード・ロランに通じる繊細さの際立つ伝統的な大気的な遠近法、詩情的な光源処理による理想的風景の描写、理知的な画面構成などに神秘性やある種の心情性を感じさせる自然表現を加えた風景展開は同時代(18世紀フランス)に制作された風景画の中でも特筆に値する出来栄えと完成度が示されている。

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【全体図】
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Work figure (作品図)


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