Description of a work (作品の解説)
2011/05/04掲載
Work figure (作品図)
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パオロとフランチェスカ


(Paolo et Francesca) 1819年
48×39cm | 油彩・画布 | アンジェ美術館(フランス)

19世紀フランス新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルによる文学主題作品の代表的作例『パオロとフランチェスカ』。1855年のパリ万国博覧会への出品作としても知られている本作は、13世紀イタリアを代表する詩人ダンテ・アリギエーリの傑作≪神曲≫の版画(クーパン・ドゥ・ラ・クープリ)に着床を得て制作された作品で、地獄篇 第5歌に記されるポレタン家の娘フランチェスカと、彼女の嫁ぎ先であるマラテスタ家の義弟パオロがはじめて接吻する場面が描かれている。容姿が醜かったマラテスタ家の息子ジャンチオットに嫁いだフランチェスカは彼の弟であったパオロに心を惹かれ、またパオロもフランチェスカに魅了される中、ふたりで読んだアーサー王物語(湖水のランストッロ)中「王妃グィネヴィアと円卓の騎士ランスロットの接吻」のくだりでパオロとフランチェスカが互いの愛に気づき口づけをするのであるが、本作では義弟パオロがフランチェスカへ身を寄せ情熱的な接吻をおこなう情景が描かれている。フランチェスカは戸惑いと罪悪感を隠し切れないながらも、思わずアーサー王物語が書かれる書物を手から落としている仕草からパオロの愛に対する甘い喜びと受け入れの感情を見出すことができる。本主題ではその後、フランチェスカの夫ジャンチオットがふたりの裏切りに激怒し両者を殺害する(※パオロとフランチェスカは地獄を彷徨うことになる)流れとなっており、本作中ではパオロとフランチェスカの口づけを目撃し剣を手にする夫ジャンチオットが画面奥右側へ描き込まれている。


【全体図】
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フランチェスカへ口づけするパオロ。本作は13世紀イタリアを代表する詩人ダンテ・アリギエーリの傑作≪神曲≫の版画に着想を得て制作された作品で、地獄篇 第5歌に記されるポレタン家の娘フランチェスカと、彼女の嫁ぎ先であるマラテスタ家の義弟パオロがはじめて接吻する場面が描かれている。



【口づけするパオロ】
フランチェスカの手から落ちるアーサー王物語の書物。フランチェスカは戸惑いと罪悪感を隠し切れないながらも、思わず書物を手から落としている仕草からパオロの愛に対する甘い喜びと受け入れの感情を見出すことができる。



【フランチェスカの手から落ちる書物】
ふたりの裏切りに激怒する夫ジャンチオット。パオロとフランチェスカの口づけを目撃し剣を手にする夫ジャンチオットが画面奥右側へ描き込まれている。その後、パオロとフランチェスカは地獄を彷徨うことになる。



【激怒する夫ジャンチオット】

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