Description of a work (作品の解説)
2009/11/20掲載
Work figure (作品図)
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皇帝の座につくナポレオン1世


(Napoléon ler sur le trône impérial) 1806年
260×163cm | 油彩・画布 | 軍事博物館(パリ)

偉大なる新古典主義の画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル初期を代表する肖像画の重要作『皇帝の座につくナポレオン1世』。フランス第一帝政時、立法院からの依頼により1806年に制作され、同年のサロンへも出品された本作は、1804年、国民投票の圧倒的支持を得てフランス皇帝に就任した≪ナポレオン・ボナパルト≫の姿を描いた肖像画作品である。画面中央に配される皇帝ナポレオン1世は時が止まったかのように微動だにせず真正面を向き、観る者へと視線を向けている。その姿は己の絶対的な勝利と権力を示すかのようであり、またナポレオンの頭上には勝利と栄光を象徴する月桂樹の葉の形で構成された黄金の冠が被せられている。そして本作でナポレオンが身に着ける毛足の長い豪奢な(赤色と白色と黄金色と黒色の)衣服は、フランスの最高権力者(君主)が身に纏う衣服そのものであり、その地位の高さを容易に連想させる。さらに黄金で作られた玉座へ座するナポレオンは、世界を意味する黄金の球体を持った王を象徴する杖を右手で掲げ、祝福を与える指の形をした杖に左手で軽く添えている。このように皇帝や権力者、絶対者としての象徴的要素が至る部分へ配される本作の、堅牢で安定的な正面的構図や、画家の極めて高度な力量を示す圧倒的な写実性、真実性は観る者を否が応にも惹きつけ、そこには幻想性や神秘性すら感じられるものの、しかしそのあまりにも厳格な正面性と迫真的写実表現から、サロン出品時、ゴシック様式や初期ネーデルランド絵画の巨匠ヤン・ファン・エイクの写実性や自然主義的描写と比較され「時代錯誤的である」と酷評を浴びせられることになった。なおアングルは批評家らによる本作への酷評に強く落胆し、同年、イタリアへと旅立っている。


【全体図】
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観る者へと向けられる皇帝の視線。フランス第一帝政時、立法院からの依頼により1806年に制作され、同年のサロンへも出品された本作は、1804年、国民投票の圧倒的支持を得てフランス皇帝に就任した≪ナポレオン・ボナパルト≫の姿を描いた肖像画作品である。



【観る者へと向けられる皇帝の視線】
皇帝の絶対的な権力を象徴する装飾品。画面中央に配される皇帝ナポレオン1世は時が止まったかのように微動だにせず真正面を向き、観る者へと視線を向けている。その姿は己の絶対的な勝利と権力を示すかのようであり、またナポレオンの頭上には勝利と栄光を象徴する月桂樹の葉の形で構成された黄金の冠が被せられている。



【絶対的な権力を象徴する装飾品】
非常に高度なアングルの写実的表現。皇帝や権力者、絶対者としての象徴的要素が至る部分へ配される本作の、堅牢で安定的な正面的構図や、画家の極めて高度な力量を示す圧倒的な写実性、真実性は観る者を否が応にも惹きつけ、そこには幻想性や神秘性すら感じられる。



【非常に高度な画家の写実的表現】
世界を意味する黄金の球体を持った王を象徴する杖。本作は、そのあまりにも厳格な正面性と迫真的写実表現から、サロン出品時、ゴシック様式や初期ネーデルランド絵画の巨匠ヤン・ファン・エイクの写実性や自然主義的描写と比較され「時代錯誤的である」と酷評を浴びせられることになった。



【王を象徴する杖】

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