Description of a work (作品の解説)
2011/07/21掲載
Work figure (作品図)
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マルコット・ド・サント=マリ夫人の肖像


(Mme Marcotte de Sainte-Marie) 1826年
93×74cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

19世紀フランス新古典主義最後の大画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルを代表する肖像画作品のひとつ『マルコット・ド・サント=マリ夫人の肖像』。本作はアングルの良き友人であり、同時に画家の有力なパトロンのひとりであったマルコット・ダルジャントゥイユの義姉となる≪サント=マリ夫人≫をモデルに描いた肖像画作品である。画面中央で黄色の敷布が掛けられた椅子にゆったりと座るサント=マリ夫人は、その大きな瞳を観る者へと向けながら魅惑的な表情を浮かべている。顔面部分では特に人としての意思の強さを感じさせる濃い眉毛や、やや厚みのある唇や結い上げられた巻き毛の髪型の繊細な描写に描写家としてのアングルの類稀な才能を感じずにはいられない。さらに姿態へと目を向けてみると寛ぎを感じさせるリラックスしたサント=マリ夫人のポーズにはモデルに対する画家の親和的な心地良い関係を見出すことができる。そして本作で特に注目すべき点は色彩表現の秀逸さにある。サント=マリ夫人が身に着ける衣服はボリューミーでありながら派手過ぎない茶褐色をベースとした色彩で統一されており、モデルの品位を際立たせることに成功している。それは夫人が手にする書物によってより強調されている点も注視したい。さらに黄色の敷布や身に着ける少数の装飾品に用いられる黄色や黄金色と茶褐色との対比、そして暗い背景へと続く色彩的連続性の秀逸さは今も観る者を強く惹きつける。


【全体図】
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魅惑的なサント=マリ夫人の表情。本作はアングルの良き友人であり、同時に画家の有力なパトロンのひとりであったマルコット・ダルジャントゥイユの義姉となる≪サント=マリ夫人≫をモデルに描いた肖像画作品である。



【魅惑的なサント=マリ夫人の表情】
繊細に描写される茶褐色のドレスの皺。顔面部分では特に人としての意思の強さを感じさせる濃い眉毛や、やや厚みのある唇や結い上げられた巻き毛の髪型の繊細な描写に描写家としてのアングルの類稀な才能を感じずにはいられない。



【繊細に描写されるドレスの皺】
夫人が身に着ける少数の装飾品。サント=マリ夫人が身に着ける衣服はボリューミーでありながら派手過ぎない茶褐色をベースとした色彩で統一されており、モデルの品位を際立たせることに成功している。それは夫人が手にする書物によってより強調されている点も注視したい。



【夫人が身に着ける少数の装飾品】

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