Description of a work (作品の解説)
2011/02/08掲載
Work figure (作品図)
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リヴィエール夫人の肖像


(Portrait de Madame Rivière) 1805年
116.5×81.7cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス新古典主義最後の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルが初期に手がけた肖像画の代表的作例のひとつ『リヴィエール夫人の肖像』。1806年のサロン出品作としても知られる本作は、フランス第一帝政(皇帝ナポレオン1世による軍事政権)期の要人フェリベール・リヴィエール高官の妻≪リヴィエール夫人≫を描いた楕円形肖像画作品で、アングルは同時期に高官の娘の肖像画『リヴィエール嬢の肖像』も手がけている。画面中央に配された良質な光沢を放つ青い長椅子へ腰掛けるリヴィエール夫人は自然的な振る舞いと表情を浮かべているものの、その凛としつつ優しげな視線や堂々たる姿には高官の妻としての気品を強く感じることができる。また彼女が身に着ける薄いレースのヴェールや艶やかな純白のドレスの繊細な質感描写には若きアングルの傑出した描写力を見出すことができる。さらに本作で最も注目すべき点は夫人が掛けた豪奢なインド風の肩掛けと彼女の姿態が創出する画面内の緩やかな曲線の美しさにある。かつて『ショールの女』と呼称されていたほど、本作の中で特に観る者を惹きつける異国情緒の漂う豪華な長肩掛けは、画面右端から『リヴィエール夫人の左腕、左肩、首、右肩と緩やかな曲線を描くように掛けられ、そこから脱力的に下へ降ろされる右腕に沿うような形で動きがつけられている。このショールと動きと対比的に構成されるリヴィエール夫人の胴体の動きの調和性は白眉の出来栄えである。さらにリヴィエール夫人の長さの異なる左右の腕の描写(※下げられた右腕のみに注目すると異様に長いことがよく分かる)によって写実的な不自然さを感じさせず、静的な構成の中にダイナミズム的効果を発揮することに成功している。また本作の抑えられた色数での色彩的構成は夫人の性格や当時の流行を品の良く演出している。


【全体図】
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気品を感じさせるリヴィエール夫人の表情。画面中央に配された良質な光沢を放つ青い長椅子へ腰掛けるリヴィエール夫人は自然的な振る舞いと表情を浮かべているものの、その凛としつつ優しげな視線や堂々たる姿には高官の妻としての気品を強く感じることができる。



【気品を感じさせる夫人の表情】
艶やかな衣服の質感。リヴィエール夫人の長さの異なる左右の腕の描写(※下げられた右腕のみに注目すると異様に長いことがよく分かる)によって写実的な不自然さを感じさせず、静的な構成の中にダイナミズム的効果を発揮することに成功している。



【艶やかな衣服の質感】
緻密に描き込まれた豪奢なインド風の肩掛け。かつて『ショールの女』と呼称されていたほど、本作の中で特に観る者を惹きつける異国情緒の漂う豪華な長肩掛けは、画面右端から『リヴィエール夫人の左腕、左肩、首、右肩と緩やかな曲線を描くように掛けられ、そこから脱力的に下へ降ろされる右腕に沿うような形で動きがつけられている。



【豪奢なインド風の肩掛け】

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