Description of a work (作品の解説)
2010/03/26掲載
Work figure (作品図)
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聖餅の聖母(オスティアのマリア)


(La Vierge à I'hostie) 1854年
直径113cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルによる宗教画の代表的作例のひとつ『聖餅の聖母(オスティアのマリア)』。1855年のサロン及び同年に開催されたパリ万国博覧会への出品作として知られる本作は、主イエスの肉体の実体化として聖体礼儀で食される、聖別された無発酵パン≪聖餅(オスティア、ホスチアとも呼ばれる)≫の前の≪聖母マリア≫の姿を描いた作品で、ルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオの工房作品『ろうそくの聖母』に着想を得て制作されたと考えられている。円形(トンド)形式で手がけられる本作では円の頂点から中央に線を引く形で主題となる聖母マリアと白布の掛けられたテーブルへ置かれる黄金の聖爵へと乗せられる聖餅(オスティア)が配され、その左右には香炉を覗き込む天使(画面左側)や燭台の蝋燭に炎を灯す天使(画面右側)が描かれている。画面構成としては古典様式を彷彿とさせる厳格で聖性が際立つな正面性と左右の対称性が顕著に示される本作の聖母マリアは貞淑な表情を浮かべながら聖餅へと視線を向けつつ、身体はやや斜めに構え胸の前で両手を合わせる肢体にて描写されている。聖母マリアの腹部あたりに描かれる聖餅は偉大なる主の奇跡を連想させるかの如く、非現実的に黄金の聖爵の上で垂直に立っており、その正面性や完全な円形には宗教的な神秘的印象も見出すことができる。また本作は表現手法に注目しても、一切の染みや傷がない理想化された構成要素の滑らかで人工的な描写や簡潔な画面構成には新古典主義の最高権威者としての立場的表現が感じられる。なおロシアのプーシキン美術館やフランスのボナ美術館、ブラジルのサンパウロ美術館には本作のヴァリアントや油彩習作が所蔵されている。


【全体図】
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真正面を向く聖母マリアの厳粛な表情。1855年のサロン及び同年に開催されたパリ万国博覧会への出品作として知られる本作は、主イエスの肉体の実体化として聖体礼儀で食される、聖別された無発酵パン≪聖餅(オスティア、ホスチアとも呼ばれる)≫の前の≪聖母マリア≫の姿を描いた作品である。



【真正面を向く聖母マリア】
神秘的に直立する聖餅(オスティア)。聖母マリアの腹部あたりに描かれる聖餅は偉大なる主の奇跡を連想させるかの如く、非現実的に黄金の聖爵の上で垂直に立っており、その正面性や完全な円形には宗教的な神秘的印象も見出すことができる。



【神秘的に直立する聖餅】
燭台の蝋燭に灯された炎。画面構成としては古典様式を彷彿とさせる厳格で聖性が際立つな正面性と左右の対称性が顕著に示される本作の聖母マリアは貞淑な表情を浮かべながら聖餅へと視線を向けつつ、身体はやや斜めに構え胸の前で両手を合わせる肢体にて描写されている。



【燭台の蝋燭に灯された炎】

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