Description of a work (作品の解説)
2011/01/11掲載
Work figure (作品図)
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博士たちと議論するキリスト


(Jésus au milieu des docteurs) 1842-62年
265×320cm | 油彩・画布 | アングル美術館(モントーバン)

19世紀に活躍したフランス新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル晩年期を代表する作品『博士たちと議論するキリスト』。1842年から着手され20年もの歳月をかけ1862年に完成させられた本作は≪博士たちと議論するキリスト≫を主題とした作品である。本作の主題≪博士たちと議論するキリスト≫は新約聖書ルカ福音書2:41-51に記される逸話で、過越祭を祝うためエルサレムへ赴いた12歳のイエスと両親(ヨセフとマリア)が祭りの終了後、故郷ナザレへの帰路に発つものの、ヨセフとマリアが旅の途中、イエスが居ないことに気づき急いでエルサレムへ戻り三日後に同地へ再着、イエスが神殿でユダヤの博士(神学者)らと議論(問答)を交わしていた姿を発見し、「なぜ帰路に着かなかったのですか?私たちは心配をしたのですよ」と両親がイエスに問いかけたところ、「どうして私を捜したのですか?私が父の家(=神殿)に居るのは当然です」と返答したという内容で、5世紀には作例が見られる伝統的な主題でもある。主(父なる神)への帰属と神の子イエスの神童ぶりを示す話として主題が解釈される本作では、古典に則り画面中央の最も高い位置に少年の姿のイエスが配されており、右腕を上へ左腕を前に向け整然と講釈するイエスの姿態には神の子としての神々しさを存分に感じることができる。またイエスの左右には弁論に驚愕する神学者が、前景となる画面下部にはイエスの論説を討議し合う博士たちが綿密に描写されている。そして画面右側へはイエスを迎えに来た歳暮マリアと聖ヨセフが光輪と共に描き込まれている。本作の精緻な対称性や主題を強調する厳格な正面性、高度な写実描写による安定的で秩序高い画面構成と場面展開はアングルの古典様式が良く示されている。


【全体図】
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博士たちと議論する神の子イエス。1842年から着手され20年もの歳月をかけ1862年に完成させられた本作は新約聖書ルカ福音書2:41-51に記される≪博士たちと議論するキリスト≫を主題とした作品である。



【博士たちと議論する神の子イエス】
イエスの主張に驚愕する神学者たち。主への帰属と神の子イエスの神童ぶりを示す話として主題が解釈される本作では、古典に則り画面中央の最も高い位置に少年の姿のイエスが配されており、右腕を上へ左腕を前に向け整然と講釈するイエスの姿態には神の子としての神々しさを存分に感じることができる。



【イエスの主張に驚愕する神学者】
緻密な写実的表現。本作の精緻な対称性や主題を強調する厳格な正面性、高度な写実描写による安定的で秩序高い画面構成と場面展開はアングルの古典様式が良く示されている。



【緻密な写実的表現】

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