Description of a work (作品の解説)
2010/03/29掲載
Work figure (作品図)
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プシュケとアモル

 (Psyché et l'Amoir) 1798年
189×132cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀のフランスを代表する新古典主義の画家フランソワ・ジェラール随一の代表作『プシュケとアモル(プシュケとキューピッド)』。1798年のサロン出品作としても良く知られる本作は、古代より様々な図像にて表現されてきた神話的逸話≪プシュケとアモル≫を主題とした作品である。本作の主題≪プシュケとアモル≫は、美の女神ヴィーナスも嫉妬するほどの美貌の持ち主で、その美しさ故求婚者も現れることがなかった王女プシュケに恋をした愛の神(そしてヴィーナスの息子でもある)アモル(キューピッド)の物語であり、本作では画面中央やや左側に配される胸を両手で隠すような仕草を見せる王女プシュケの額へ接吻をおこなうアモル(キューピッド)が場面に選定されている。本作に描かれる愛の神アモルはプシュケへ至上の愛を届けるかのようにやさしく抱き寄せその額へ口付けをおこなっているものの、王女プシュケは接吻をおこなうアモルへと視線を向けておらず、むしろ無表情的な印象が強い。本作の解釈についてはアモルの突然の来訪と接吻に驚く王女プシュケという≪アモルに最初の接吻を受ける王女プシュケ≫とする説が有力視されてきたが、現在では数々の苦難を得た後に結ばれることとなった≪アモルと王女プシュケの終幕≫とする説も高まってきており、更なる研究が期待されている。また本作を新プラトン主義的な解釈に基づいた場合、「プシュケ」という言葉はギリシア語で魂を意味しているため、≪人間の魂と神の愛の結合≫を読み取ることができる(※その象徴として両者の頭上には一匹の蝶が舞っている)。本作の絵画的表現に注目しても、まるで大理石を思わせるような滑らかで美しいプシュケやアモルの肌の描写や動性を感じさせることのない徹底した姿態の純化と人工的表層描写、絶妙に画面全体へと拡散するアモルとプシュケ甘美的な官能性、そしてそれらと対比するかのような牧歌的かつ自然的な背景の風景表現などひとつの古典主義作品としても極めて完成度が高い。


【全体図】
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無機質的で無表情な王女プシュケ。本作に描かれる愛の神アモルはプシュケへ至上の愛を届けるかのようにやさしく抱き寄せその額へ口付けをおこなっているものの、王女プシュケは接吻をおこなうアモルへと視線を向けておらず、むしろ無表情的な印象が強い。



【無機質的で無表情な王女プシュケ】
王女プシュケの額へ接吻する愛の神アモル。本作の主題≪プシュケとアモル≫は、美の女神ヴィーナスも嫉妬するほどの美貌の持ち主で、その美しさ故求婚者も現れることがなかった王女プシュケに恋をした愛の神(そしてヴィーナスの息子でもある)アモル(キューピッド)の物語である。



【王女プシュケへ接吻するアモル】
大理石を思わせるかのような肌質。本作の解釈についてはアモルの突然の来訪と接吻に驚く王女プシュケという≪アモルに最初の接吻を受ける王女プシュケ≫とする説が有力視されてきたが、現在では数々の苦難を得た後に結ばれることとなった≪アモルと王女プシュケの終幕≫とする説も高まってきており、更なる研究が期待されている。



【大理石を思わせるかのような肌質】
丹念に描写されたアモルの翼。本作を新プラトン主義的な解釈に基づいた場合、「プシュケ」という言葉はギリシア語で魂を意味しているため、≪人間の魂と神の愛の結合≫を読み取ることができる(※その象徴として頭上には一匹の蝶が舞っている)。



【丹念に描写されたアモルの翼】

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