Description of a work (作品の解説)
2010/03/25掲載
Work figure (作品図)
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サッフォーとファオン(サッポーとパオン)


(Sapho, Phaon et Amour) 1809年
225×260cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館

新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッド後期の代表的な歴史主題作品『サッフォーとファオン(サッポーとパオン)』。ロシアの外交官であり裕福な美術愛好家であったユソポフの為に1809年に制作された本作は、紀元前7世紀頃に活躍したとされる古代ギリシャ出身の伝説的女流詩人であり、恋愛を主題とした詩風から一時期は退廃的・異教的とも非難された≪サッフォー≫が恋人ファオンに抱かれる姿を描いた作品である。画面中央に描かれる詩人サッフォーは豪奢な椅子に深く腰掛けているが、その姿は彼女が心を奪われていた若く美しい青年ファオンに抱かれ、両腕を上げ竪琴を奏でながら、まるで半分気を失うかのように恍惚的な表情を浮かべている。サッフォーを抱く青年ファオンは彼女の詩の一節「神のごとく現れた」を示すかのように極めて端整で魅惑的な笑みを浮かべながら観る者へと視線を向けている。さらに画面左側へはサッフォーの恋の炎を燃え上がらせたのであろう、少年の姿をしたローマ神話の愛の神キューピッド(クピド又はアモルとも呼ばれる。ギリシア神話のエロスと同一視される)が悪戯な表情を浮かべながらやや大きめのハープをサッフォーの前に差し出している。本作の過度に強調された説明的な場面表現や、理想美を追求した結果であろう人工性が際立つサッフォーの肌質を始めとする構成要素の描写には賛否両論の評価が下されているものの、大胆でありながら先進的な色彩の表現や構成、あたかも16世紀イタリアの画家コレッジョを連想させる独特の官能的表現と雰囲気描写にはダヴィッドの新たな絵画展開を見出すことができる。


【全体図】
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恋人に抱かれ恍惚の表情を浮かべる詩人サッフォー。ロシアの外交官であり裕福な美術愛好家であったユソポフの為に1809年に制作された本作は、紀元前7世紀頃に活躍したとされる古代ギリシャ出身の伝説的女流詩人≪サッフォー≫が恋人ファオンに抱かれる姿を描いた作品である。



【恍惚の表情を浮かべる詩人サッフォー】
端整な顔立ちの青年ファオン。画面中央に描かれる詩人サッフォーは豪奢な椅子に深く腰掛けているが、その姿は彼女が心を奪われていた若く美しい青年ファオンに抱かれ、両腕を上げ竪琴を奏でながら、まるで半分気を失うかのように恍惚的な表情を浮かべている。



【端整な顔立ちの青年ファオン】
悪戯な眼差しを向ける愛の神キューピッド。本作の大胆でありながら先進的な色彩の表現や構成、あたかも16世紀イタリアの画家コレッジョを連想させる独特の官能的表現と雰囲気描写にはダヴィッドの新たな絵画展開を見出すことができる。



【悪戯な眼差しを向けるキューピッド】

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