Description of a work (作品の解説)
2010/05/14掲載
Work figure (作品図)
■ 

ペクール夫人の肖像


(Portrait de Geneviève-Jaquerine Pécoul) 1784年
81×64cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス新古典主義の最大の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッド初期を代表する肖像画作品のひとつ『ペクール夫人の肖像』。本作は画家の義母(妻の母)である≪ペクール夫人≫をモデルに制作された肖像画作品で、対の作品としての夫シャルル=ピエール・ペクールの肖像もほぼ同時期に制作された。ダヴィッドは本作を手がける2年前の1782年の春頃に裕福な王室(宮廷)の建築請負業者であったシャルル=ピエール・ペクール氏の娘と結婚しており、本作はその縁で制作されたと考えられている。画面中央へ配されるペクール夫人は品の良い木製の机に肘を突きながら優雅な振る舞いを見せている。視線はあえて自然的な表情をペクール夫人へ与えるかのように画面左側へと向けられており、その姿には対象の人間性までもが映し出されているかのようである。この優美なる画家の義母ペクール夫人の半身肖像画において特に注目すべきは若きダヴィッドの卓越した描写力にある。本作でペクール夫人は首元などをレースで、また胸元や帽子を大きな朱色のリボンで装飾する紫桃色の艶やかなドレスを身に着けており、その金属的な質感とレース部分の柔らかな質感の対比や、古典的な厳しい色彩表現には眼を見張るものがある。さらにそれらは徹底した写実的描写によって、より強調されている。特にレース部分の細密な描写や、ややハイライトの強い顔面部分の迫力を感じさせる現実味に溢れた描写には、画家の類稀な画才を感じることができる。なおフランス革命時、ダヴィッドは熱心なジャコバン派(革命派)であり、当時のフランス国王ルイ16世の処刑に賛成した為、王党派であったペクール家と疎遠になり、一時的にではあるが妻とも離別している。

関連:対画 『シャルル=ピエール・ペクールの肖像』


【全体図】
拡大表示
写実性の高いペクール夫人の描写。本作は画家の義母(妻の母)である≪ペクール夫人≫をモデルに制作された肖像画作品で、対の作品としての夫シャルル=ピエール・ペクールの肖像もほぼ同時期に制作された。



【写実性の高いペクール夫人の描写】
丹念に描き込まれた胸元のレース。本作でペクール夫人は首元などをレースで、また胸元や帽子を大きな朱色のリボンで装飾する紫桃色の艶やかなドレスを身に着けており、その金属的な質感とレース部分の柔らかな質感の対比や、古典的な厳しい色彩表現には眼を見張るものがある。



【丹念に描き込まれた胸元のレース】
夫人が身に着ける衣服の豊かな質感表現。フランス革命時、ダヴィッドは熱心なジャコバン派(革命派)であり、当時のフランス国王ルイ16世の処刑に賛成した為、王党派であったペクール家と疎遠になり、一時的にではあるが妻とも離別している。



【衣服の豊かな質感表現】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ