Description of a work (作品の解説)
2009/11/18掲載
Work figure (作品図)
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マラーの死

 (Mort de Marat) 1793年
165×128cm | 油彩・画布 | ベルギー王立美術館

新古典主義最大の画家ジャック=ルイ・ダヴィッドによる歴史画の傑作『マラーの死』。本作は18世紀に起きたフランス革命において指導者的立場で同革命を推進したジャコバン派の政治家(革命家)≪ジャン=ポール・マラー≫が、対立するジロンド派の美しき擁護者シャルロット・コルデ(コルディ)に暗殺された場面を描いた作品で、当時の最高権力機関である国民公会の依頼により制作された。ダヴィッドの良き友人でもあった革命の指導者マラーは新聞≪人民の友≫を刊行し当時の執政を激しく攻撃するなど特に下層階級層から絶大な支持を集めていたものの、1790年代初頭に持病の皮膚病が酷く悪化したことが伝えられている。本場面は1793年7月13日にマラーが皮膚病の治療と緩和のために硫黄風呂へ浸かっていた時、「伝えねばならない重要な情報がある」との理由で近づいてきたシャルロット・コルデに刺殺された光景を描いた作品であるが、画面中央で浴槽の中で力なく倒れるマラーは、同じく槍に刺されて死した受難者イエスの如く、神々しい姿である。またその姿には古代の悲劇的情景にも通じる≪革命の英雄≫的印象を観る者に与えることに成功している。マラーの左手にはシャルロット・コルデが持参したのであろう「私の大きな不幸は、貴方の善意に訴える権利を私に与える」と記された血液付きの嘆願書が握られており、浴槽からだらりと下がった右手には報道者としての側面を示す羽根ペンが持たされている。さらにペンの左側にはマラーを刺殺した際に使用したと考えられるナイフが1本落ちており、本作の劇的な緊張感を盛り上げる効果を発揮している。また画面最前景へ配されるペンとインク壷が置かれた木箱の側部には「マラーへ、ダヴィッド、2年」と記されており、本作にはダヴィットの亡き友人に対する哀悼の意が明確に示されている。


【全体図】
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革命の英雄的殉教者として描かれるマラー。本作は18世紀に起きたフランス革命において指導者的立場で同革命を推進したジャコバン派の政治家(革命家)≪ジャン=ポール・マラー≫が、対立するジロンド派の美しき擁護者シャルロット・コルデ(コルディ)に暗殺された場面を描いた作品である。



【英雄的殉教者として描かれるマラー】
マラーの血が付いた嘆願書。本場面は1793年7月13日にマラーが皮膚病の治療と緩和のために硫黄風呂へ浸かっていた時、「伝えねばならない重要な情報がある」との理由で近づいてきたシャルロット・コルデに刺殺された光景を描いた作品であるが、画面中央で浴槽の中で力なく倒れるマラーは、同じく槍に刺されて死した受難者イエスの如く、神々しい姿である。



【マラーの血が付いた嘆願書】
右手に握られる羽根ペン。画面最前景へ配されるペンとインク壷が置かれた木箱の側部には「マラーへ、ダヴィッド、2年」と記されており、本作にはダヴィットの亡き友人に対する哀悼の意が明確に示されている。



【右手に握られる羽根ペン】

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