Description of a work (作品の解説)
2010/04/18掲載
Work figure (作品図)
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リュクサンブール庭園の眺め


(Vue présumée du jardin de Luxembourg) 1794年
55×65cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義の偉大なる巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドによる唯一の風景画作品『リュクサンブール庭園の眺め』。本作は熱心なジャコバン党員であったダヴィッドが同党の中心人物マクシミリアン・ロベスピエールの失脚後に逮捕され1794年9月から12月までの大凡4ヶ月間、リュクサンブール宮殿に拘留(幽閉)されていた時に、同宮殿から眺めた情景を描いた風景画作品である。画面下部には近景として垣で囲まれた空間が広がっており、描かれる幾人らの人物の様子からも整備中であることが窺い知れる。画面の2/3を占める平坦的で簡素な印象は、そこから垣を隔てて中〜遠景へと続くリュクサンブールの秩序的な森林や街の景観と見事な対比を示しており、さらには画面上部の雲がかった空の様子と共鳴している。中景として描かれるリュクサンブールの森林は(おそらくは拘留されて間もない9〜10月頃の)秋特有の紅葉が斜陽に輝き、観る者へ憧憬的でありながら閑寂とした印象を与えさせている。この情景の印象はリュクサンブール宮殿へ拘留されたダヴィッド自身の心象そのものであるとも理解することができる。また本作は風景画としての構成に注目しても画家の豊かな才能を見出すことができる。近景と中景は垣によって明確に区分されているが、その水平性は古典主義的な安定性を画面内へもたらし、さらに画面左部に描かれる垣と垂直に交わる小道や、真っ直ぐに伸びる森林の木々は構図的安定性を際立たせる効果を発揮している。


【全体図】
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憧憬的で閑寂な斜陽の印象。本作は熱心なジャコバン党員であったダヴィッドが同党の中心人物マクシミリアン・ロベスピエールの失脚後に逮捕され1794年9月から12月までの大凡4ヶ月間、リュクサンブール宮殿に拘留(幽閉)されていた時に、同宮殿から眺めた情景を描いた風景画作品である。



【憧憬的で閑寂な斜陽の印象】
垣と垂直に交わる小道。中景として描かれるリュクサンブールの森林は(おそらくは拘留されて間もない9〜10月頃の)秋特有の紅葉が斜陽に輝き、観る者へ憧憬的でありながら閑寂とした印象を与えさせている。



【垣と垂直に交わる小道】
遠景に見えるリュクサンブールの町並み。近景と中景は垣によって明確に区分されているが、その水平性は古典主義的な安定性を画面内へもたらし、さらに画面左部に描かれる垣と垂直に交わる小道や、真っ直ぐに伸びる森林の木々は構図的安定性を際立たせる効果を発揮している。



【リュクサンブールの町並み】

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