Description of a work (作品の解説)
2009/12/03掲載
Work figure (作品図)
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ブルートゥス邸に息子たちの遺骸を運ぶ刑吏たち


(Licteurs rapportent a Brutus les corps de ses fils) 1789年
323×422cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀後半に始まったフランス激動の時代を生きた新古典主義の大画家ジャック=ルイ・ダヴィッドの代表的な歴史画作品の傑作『ブルートゥス邸に息子たちの遺骸を運ぶ刑吏たち』。1789年のサロン出品作でもある本作は、古代の共和制ローマ(紀元前509年-紀元前27年)における初代執政官であり、王政ローマ期の最後となる第7代、そして傲慢王とも呼称された独裁的な王タルクィニウス・スペルブスを同国から追放した、古代ローマの共和制樹立の最も重要な設立者のひとり≪ルキウス・ユニウス・ブルートゥス≫を主題とした歴史画作品である。「阿呆」を意味するブルートゥスの名からも理解できるよう、周囲の者からは極めて軽視されていた存在であったルキウスであるが、その本質は「極めて冷酷で厳しく、かつ教養高い」と伝えられている。本作は密かに王政復活を企んでいたルキウスの息子たちに対して自らが処刑宣告をおこない、その息子たちの遺骸がルキウスの屋敷に運ばれてくる場面を描いた作品で、ルキウスの厳格で冷酷な一面が良く表れている。画面左上には処刑され鮮血がまだ足に付いたルキウスの息子らの遺体が担架に乗せられながら、玄関からルキウス邸へ運ばれてきており、画面右側では息子らの母や妻(又は姉妹)らがその死を嘆き悲しんでいる。そして画面最前景となる画面左下には自ら息子らに処刑宣告を下したルキウスの厳しい表情を浮かべながら椅子に座っている姿が配されている。本作の息子らの遺骸を乗せた担架や母らの背後にあるカーテン、そして石柱などで強調された画面へ安定感をもたらす水平性と垂直性、明快で理知的な構図、静動の明確な対比(静:ルキウスや死体となった息子ら、動:感情を露にする母など女性ら)などは新古典主義様式の典型的な特徴であり、本作にはそれらが良く示されている。


【全体図】
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遺体となって帰ってくるルキウスの息子。本作は密かに王政復活を企んでいたルキウスの息子たちに対して自らが処刑宣告をおこない、その息子たちの遺骸がルキウスの屋敷に運ばれてくる場面を描いた作品で、ルキウスの厳格で冷酷な一面が良く表れている。



【遺体となったルキウスの息子】
嘆き悲しむ母など女性たち。本作の息子らの遺骸を乗せた担架や母らの背後にあるカーテン、そして石柱などで強調された画面へ安定感をもたらす水平性と垂直性、理知的な構図、静動の明確な対比などは新古典主義様式の典型的な特徴である。



【嘆き悲しむ母など女性たち】
厳しい表情を浮かべるルキウスの姿。「阿呆」を意味するブルートゥスの名からも理解できるよう、周囲の者からは極めて軽視されていた存在であったルキウスであるが、その本質は「極めて冷酷で厳しく、かつ教養高い」と伝えられている。



【厳しい表情を浮かべるルキウス】

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