Description of a work (作品の解説)
2010/05/02掲載
Work figure (作品図)
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自画像

 (Autoportrait) 1794年
81×64cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランス新古典主義の最大巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッド作『自画像』。本作はフランス革命時、急進的な改革を思想としていたジャコバン派の熱心な一員であったダヴィッドが、同党の強硬路線の主要者マクシミリアン・ロベスピエール失脚後に逮捕され、1794年9月から12月までの大凡4ヶ月間、リュクサンブール宮殿に拘留(幽閉)されていた時に制作された、画家本人を自ら描いた自画像作品である。画面中央に描かれるダヴィッド自身は眉を上げ鋭い眼光で観る者と対峙し、その口元は固く閉ざされている。その表情からはリュクサンブール宮殿に拘留される自身の鬱屈した精神性の反映を明確に見出すことができる。さらに椅子に座りながらやや斜めに構えられた姿態は荒々しい筆触で描写されており、ここにも画家の攻撃的な一面が感じられる。しかし本作で注目すべき点は左手に持つ絵筆と右手の調色板の存在にある。自らが置かれる不遇の立場を理解し、そこにある種の苛立ちや精神的閉塞、抑圧などを感じながらも理想美を追求する画家としての自己が明確に示される本作には、ダヴィッドの揺ぎ無い信念を感じずにはいられない。また本作にはダヴィッド自身は低く位置付けていた肖像画というジャンルにおける(だからこそ)、対象の内面まで的確に捉える鋭い観察眼と優れた写実性の高度な融合が示されている。


【全体図】
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鋭い眼光で観る者と対峙する画家自身。本作はフランス革命時、ダヴィッドがロベスピエール失脚後に逮捕され、1794年9月から12月までの大凡4ヶ月間、リュクサンブール宮殿に拘留(幽閉)されていた時に制作された、画家本人を自ら描いた自画像作品である。



【鋭い眼光で対峙する画家自身】
荒々しく攻撃的な筆触。画面中央に描かれるダヴィッド自身は眉を上げ鋭い眼光で観る者と対峙し、その口元は固く閉ざされている。その表情からはリュクサンブール宮殿に拘留される自身の鬱屈した精神性の反映を明確に見出すことができる。



【荒々しく攻撃的な筆触】
画家としての自己を示す調色板。自らが置かれる不遇の立場を理解し、そこにある種の苛立ちや精神的閉塞、抑圧などを感じながらも理想美を追求する画家としての自己が明確に示される本作には、ダヴィッドの揺ぎ無い信念を感じずにはいられない。



【画家としての自己を示す調色板】

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