Description of a work (作品の解説)
2009/01/21掲載
Work figure (作品図)
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龍虎図屏風

 (Dragon and Tiger) 17世紀初頭
各177.5×356.5cm | 六曲一双・紙本金地着色 | 妙心寺

京狩野の祖である狩野山楽を代表する作品のひとつ、重要文化財『龍虎図屏風』。京都の妙心寺が所蔵(所有)しているものの現在、保存上の観点などから京都国立博物館に委託されている本作は、左隻に虎、右隻に龍を配する武家好みの典型的な≪龍虎≫を描いた六曲一双の屏風絵である。制作年代は諸説唱えられているものの、山楽40〜50代頃の作品と推測される本作の左隻では、竹林の中へ二匹一対の虎を配し、中央に描かれる雄虎は牙を剥き出しにして右隻の龍を睨みつけている。一方、右隻では奔放に枝を広げる老梅の樹の上へ金色に輝く渦雲の中から現れる巨大な龍が配されており、この構成として比較的珍しい老梅の樹と龍の関係性はおそらく老梅が龍に変化するという故事に倣ったものであると推測されている。本作で最も注目すべき点は、やはり豪壮豪胆な龍虎の表現にある。左隻に描かれる雄虎の堂々としながらしなやかな曲線美をも感じさせる姿態や、恐気に満ちた獰猛果敢な表情の描写は師永徳が手がけた傑作『唐獅子図屏風』を髣髴とさせるほど豪傑性と力強さに溢れている。また熊笹が大きく靡くほど強風を伴う渦雲の中から現れる見開かれた大きく丸いふたつの目玉が特徴的な黒龍の姿は伝説上の生物に相応しい威厳性と幻想性に溢れている。黒龍から生える二本の長い髭の曲線と呼応するかのような老梅の枝が画面の中へ心地よいリズムを与える効果を生み出していることも特筆すべき点のひとつである。さらに左隻では最右へ、右隻では最左へ配される伝統的な技法で描かれた岩肌や金地に栄える緑色が鮮やかな竹の硬質性は龍虎の柔質性と見事な対比を示していることも注目に値する。

関連:『龍虎図屏風』全体図左図拡大図右図拡大図


【全体図】
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牙を剥き出しにして黒龍と対峙する雄虎。京都の妙心寺が所蔵(所有)しているものの現在、保存上の観点などから京都国立博物館に委託されている本作は、左隻に虎、右隻に龍を配する典型的な≪龍虎≫を描いた六曲一双の屏風絵である。



【牙を剥き出し黒龍と対峙する雄虎】
強風によって大きく靡く熊笹。左隻に描かれる雄虎の堂々としながらしなやかな曲線美をも感じさせる姿態や、恐気に満ちた獰猛果敢な表情の描写は師永徳が手がけた傑作『唐獅子図屏風』を髣髴とさせるほど豪傑性と力強さに溢れている。



【強風によって大きく靡く熊笹】
ぎょろりと見開かれた黒竜の丸い瞳。右隻では奔放に枝を広げる老梅の樹の上へ金色に輝く渦雲の中から現れる巨大な龍が配されており、この構成として比較的珍しい老梅の樹と龍の関係性はおそらく老梅が龍に変化するという故事に倣ったものであると推測されている。



【ぎょろりと見開かれた黒竜の丸い瞳】
奔放に枝を広げる老梅の樹。黒龍から生える二本の長い髭の曲線と呼応するかのような奔放に広げられた老梅の枝が、画面の中へ心地よいリズムを与える効果を生み出していることは本作の中でも特筆すべき点のひとつである。



【奔放に枝を広げる老梅の樹】

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