Description of a work (作品の解説)
2010/01/01掲載
Work figure (作品図)
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唐獅子図屏風

 (Chinese Lions (Karajishi)) 16世紀後半
222.8×452cm | 6曲1隻・紙本金地着色 | 三の丸尚蔵館

狩野派の中でも傑出した存在である大絵師、狩野永徳の傑作『唐獅子図屏風』。本作は西方シルクロードから中国を経て日本へと伝わった、権威・権力を象徴する聖獣≪唐獅子(ライオン)≫を描いた作品である。縦222cm、横452cmと通常の本間屏風より大凡3割ほど寸法を拡大させた、非常に巨大な屏風である本作では画面中央からやや右側へ雌雄2頭の唐獅子が金色の雲間の中を威風堂々と闊歩する姿が描き込まれており、その姿はまさに王としての権威を象徴するかの如く豪放・豪壮である。また唐獅子の身体は図案化を施したような斑点状の模様で、頭部や四肢、尾に生える毛は巻き毛状で表現されており絵師独特の装飾美が示されている。さらに唐獅子以外に描かれるのは豪奢な黄金の雲と色彩を抑えた硬質的な質感の岩、そして画面左側へ唐突に表れる葉のついた小枝のみであり、巨大な2頭の唐獅子の存在感を際立たせている。本作に示される大画面構成による豪快な迫力性、唐獅子の体躯に示される斑点状の模様や巻き毛の装飾性、全体的な調和を重んじる統一性などは永徳が築き上げた大画様式の集大であるのみならず、安土桃山の気風そのものが表れている。画面右下には「狩野永徳法印筆」と記されているが、これは絵師の孫探幽が後年加筆したものである。なお長い間、毛利家が守護する備中高松城を攻略していた豊臣秀吉が、本能寺の変が起こったことにより、急遽、毛利家と講和するために同家へ贈った陣屋屏風と伝えられてきたが、画面左側の不自然に切れた枝部分の構図など近年おこなわれた研究によって、秀吉と所縁の深い城郭の障壁画として制作された後、屏風形へ改装された可能性が示唆されている。


【全体図】
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威風堂々とした雌雄2頭の唐獅子。通常の本間屏風より大凡3割ほど寸法を拡大させた、非常に巨大な屏風である本作では画面中央からやや右側へ雌雄2頭の唐獅子が金色の雲間の中を威風堂々と闊歩する姿が描き込まれており、その姿はまさに王としての権威を象徴するかの如く豪放・豪壮である。



【威風堂々とした雌雄2頭の唐獅子】
大画面構成による豪快な迫力性。唐獅子以外に描かれるのは豪奢な黄金の雲と色彩を抑えた硬質的な質感の岩、そして画面左側へ唐突に表れる葉のついた小枝のみであり、巨大な2頭の唐獅子の存在感を際立たせている。



【大画面構成による豪快な迫力性】
図案化を施したような斑点状の模様。本作に示される大画面構成による豪快な迫力性、唐獅子の体躯に示される斑点状の模様や巻き毛の装飾性、全体的な調和を重んじる統一性などは永徳が築き上げた大画様式の集大であるのみならず、安土桃山の気風そのものが表れている。



【図案化を施したような斑点状の模様】
不自然に切れた枝部分。本作は長い間、豊臣秀吉が毛利家と講和するために同家へ贈った陣屋屏風と伝えられてきたが、画面左側の不自然に切れた枝部分の構図など近年おこなわれた研究によって、秀吉と所縁の深い城郭の障壁画として制作された後、屏風形へ改装された可能性が示唆されている。



【不自然に切れた枝部分】

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