Description of a work (作品の解説)
2008/02/18掲載
Work figure (作品図)
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七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像

 (Portrait de Félix Fénéon sur l'émail d'un fond rythmique de mesures et d'angles, de tons et de teintes) 1890年
73.5×92.5cm | 油彩・画布 | ニューヨーク近代美術館

新印象派を代表する画家ポール・シニャック随一の傑作『七色に彩られた尺度と角度、色調と色相のリズミカルな背景のフェリックス・フェネオンの肖像』。1891年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)、翌年の二十人展への出品作としても知られている本作は、新印象主義の命名者兼擁護者であり、象徴派の雑誌「ルヴェ・アンデパンダント」の編集長でもあった世紀末の批評家≪フェリックス・フェネオンの肖像≫の類稀なる肖像画で、本作では当時シニャックと仕事上で協力関係にあり、ジョルジュ・スーラなども強く傾倒していた科学者シャルル・アンリの色彩理論が実践されている。シニャックは角度と尺度を正確に計測し、シャルル・アンリの独自的な色彩理論と融合させることによって画面の調和的形態が表現できると確証しており、本作を「社会的にも極めて重要」と位置付け、並々ならぬ意欲を持って取り組んでいる。画家自身が構想段階で、モデルとなったフェリックス・フェネオン氏へ送った手紙では「角張るリズミカルな姿態、帽子、もしくは花を手にして登場する装飾的なあなた(フェリックス・フェネオン氏)の肖像です。この作品では補色関係にある二つの意図的な色相の背景と、貴方が身に着ける衣服とが互いに調和し合うのです。」と本作を解説している。本作では確かに、この頃のシニャックが用いていた細かな点描によって繊細に色彩が配置された横向きのフェリックス・フェネオンが、シクラメンの花を一輪、右手の指先でつまみ、左手にはシルクハットと杖らしき棒を手にして立っている。そして同氏が身に着ける山吹色の衣服は、手紙の中で述べられているよう、奇抜で非常に斬新な背景の色彩と見事に調和している。この背景の図像的表現は、当時シニャックが所持していた日本の布地(又は浮世絵)からの引用・借用が指摘されている。時代的背景、新印象主義様式の形成・発展の考証という点からも、本作は新印象主義作品の中でも特に重要視される作品のひとつである。


【全体図】
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批評家≪フェリックス・フェネオン≫の姿。1891年のアンデパンダン展、翌年の二十人展への出品作としても知られている本作は、新印象主義の命名者兼擁護者であり、象徴派の雑誌「ルヴェ・アンデパンダント」の編集長でもあった批評家≪フェリックス・フェネオンの肖像≫の肖像画である。



【批評家フェリックス・フェネオンの姿】
右手の指先でつままれる一輪のシクラメンの花。シニャックは角度と尺度を正確に計測し、シャルル・アンリの独自的な色彩理論と融合させることによって画面の調和的形態が表現できると確証しており、本作を「社会的にも極めて重要」と位置付け、並々ならぬ意欲を持って取り組んでいる。



【一輪のシクラメンの花】
日本の布地(又は浮世絵)からの引用・借用が指摘されている背景の表現。画家画家は「この作品では補色関係にある二つの意図的な色相の背景と、貴方が身に着ける衣服とが互いに調和し合うのです。」と本作を解説している。



【日本の布地の引用が指摘される背景】
奇抜で非常に斬新な背景。本作でフェリックス・フェネオン氏が身に着ける山吹色の衣服は、画家が構想段階で同氏へ送った手紙の中で述べられているよう、奇抜で非常に斬新な背景の色彩と見事に調和している。



【奇抜で非常に斬新な背景】

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