Description of a work (作品の解説)
2008/04/02掲載
Work figure (作品図)
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朝食

 (Petit déjeuner) 1886-87年
89×115cm | 油彩・画布 | クレラー=ミュラー国立美術館

新印象主義の最も重要な画家のひとりであるポール・シニャックが1880年代に手がけた人物画の代表作『朝食』。1887年に開催されたアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)への出品作であるほか、よく1888年の「二十人会」展へも出品された本作は、画家の母と祖父をモデルに、ブルジョワ階級層(富裕層)の朝食風景を描いた作品である。画面前景右端で真横からの視点で描かれる初老の男(モデルは画家の祖父)は、朝の柔らかな光を前半身に浴びながら、ゆったりと一服を楽しんでいる。また画面奥でカップを手にしショコラ(又はコーヒー)を飲む婦人(モデルは画家の母)は窓から射し込む陽光に背を向けた位置に座るため、その表情は陰に隠れ曖昧に見える。新印象派(科学理論に基づいた点描主義)の創始者であるジョルジュ・スーラ存命中のシニャックの画風の大きな特徴である細かな点描による密度の高い厳格な対象表現は、ブルジョワジーの優雅な朝の情景を見事に捉えており、観る者に彼らの幸福なひと時を共有させる。また補色的に使用される青い色彩による陰影表現には、スーラの、そしてスーラと共に画家が陶酔した色彩理論の影響を強く感じさせるほか、本作の装飾的な各要素の表現や、やや奇抜的な構図・空間は日本の浮世絵などの空間構成に通じるものがあり、そこからの影響も指摘されている。


【全体図】
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朝の柔らかな陽光を前半身に浴びる初老の男。1887年に開催されたアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)への出品作であるほか、よく1888年の「二十人会」展へも出品された本作は、画家の母と祖父をモデルに、ブルジョワ階級層(富裕層)の朝食風景を描いた作品である。



【朝の柔らかな光を前半身に浴びる男】
カップを手にしショコラ(又はコーヒー)を楽しむ婦人。画面奥でカップを手にしショコラ(又はコーヒー)を飲む婦人(モデルは画家の母)は窓から射し込む陽光に背を向けた位置に座るため、その表情は陰に隠れ曖昧に見える。



【カップを手にしショコラを楽しむ婦人】
細かな点描による密度の高い厳格な対象表現。科学理論に基づいた点描表現によって描かれる本作は、ブルジョワジーの優雅な朝の情景を見事に捉えており、観る者に彼らの幸福なひと時を共有させる。



【点描による密度の高い厳格な対象表現】

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