Description of a work (作品の解説)
2009/04/05掲載
Work figure (作品図)
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テラスにて

 (Sur La Terrasse) 1881年
100.3×80.9cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール1880年代の代表的な作品のひとつ『テラスにて』。本作は若く美しい婦人と愛らしい少女を母子として描いた人物画作品で、残される書簡などから、おそらくは1881年4月にルノワールがセーヌ河畔シャトゥー村付近のレストラン≪フールネイズ≫で制作された作品であると推測されている。1882年に開催された第7回印象派展への出品作でもあると考えられている本作に描かれる若い婦人は、当時の舞台女優ダーロウであり彼女の身に着けるハイセンスな赤い帽子と洗練された紺色の衣服、さらにそのアクセントとして胸元に添えられた白花の飾りの色彩はダーロウの美貌を引き立てるだけではなく、隣の愛らしい少女の衣服や帽子、花飾り、テーブルの上の色とりどりの花々などとも見事な調和を示している。本作の中で最も観る者の目を惹きつけるダーロウの赤い帽子についてはルノワール自身が次ののように述べている。「私は≪赤≫が呼鈴のように音色高く鳴り響くものにしてみたい。もし、そうならないのであれば、もっと赤色を塗り重ねるか、他の色彩を組み合わせる(加える)のだ。」。本作の前景に示される多様で豊潤な色彩の配置や各色彩の呼応的処理は、まさに画家のこの言葉の実行事例であり、今も色褪せず我々に感動を与え続ける。さらに本作で注目すべき点は前景と背景の色彩や画面構造的な関係性の秀逸さにある。ダーロウの背後の手摺を境に前景と背景が明確に分けれており、前景は左から右へ斜めに視線が下がるように構成的誘導が施されているが、背景では逆に左から右へ斜め上に視線が向かうように構成されている。この斜めへの視線誘導はルネサンス時代から続く視線を画面へと向かわせる伝統的な手段であり、ここに画家の古典芸術への理解を見出すこともできる。さらに前景のやや強い濃色に対して背景の色彩はやや淡彩的に描写されているものの、色調そのものは背景の方がより明瞭であり、画面全体が重く沈みこんでしまうのを巧妙に回避させている。


【全体図】
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視線を画面右側へと向ける若く美しい婦人の姿。若く美しい婦人と愛らしい少女を母子として描いた本作は残される書簡などから、おそらくは1881年4月にルノワールがセーヌ河畔シャトゥー村付近のレストラン≪フールネイズ≫で制作された作品であると推測されている。



【視線を画面右側へと向ける若い婦人】
観る者と視線を交わす愛らしい少女。婦人の身に着けるハイセンスな赤い帽子と洗練された紺色の衣服、さらにそのアクセントとして胸元に添えられた白花の飾りの色彩はダーロウの美貌を引き立てるだけではなく、隣の愛らしい少女の衣服や帽子、花飾りなどとも見事な調和を示している。



【観る者と視線を交わす愛らしい少女】
淡彩的ながら高い明度を保つ背景処理。前景のやや強い濃色に対して背景の色彩はやや淡彩的に描写されているものの、色調そのものは背景の方がより明瞭であり、画面全体が重く沈みこんでしまうのを巧妙に回避させている。



【淡彩的ながら高い明度を保つ背景】

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