Description of a work (作品の解説)
2008/09/11掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィアのサン・マルコ広場


(Piazza San Marco, Venise) 1881年
63×82cm | 油彩・画布 | ミネアポリス美術館(ミネソタ州)

印象派随一の画家ピエール=オーギュスト・ルノワール探求時代の代表的な風景画作品のひとつ『ヴェネツィアのサン・マルコ広場』。本作は1881年の10月にルノワールがルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオの作品を見る為にイタリアへ旅行した際、最初の滞在地となったヴェネツィアで制作された風景画である。本作に描かれる風景は、英雄ナポレオンが世界で最も美しい広場であると称えたとの逸話も残されている同地の中心的(象徴的)存在(かつ最も有名な観光場所)のひとつ≪サン・マルコ広場≫から見たビザンティン様式による大聖堂建築の傑作≪サン・マルコ寺院≫の正面の姿であるが、最も注目すべき点は豊潤かつ多様な色彩の描写にある。画面中央から上部へ配されるサン・マルコ寺院は赤色、黄色、青色を基調としながらそれらの色彩が複雑に混合し合うことで多様な表情を見せている。さらにハイライトとして置かれる白色と隣り合う濃黄色がサン・マルコ寺院を眩いばかりに輝かせ、それは色彩の洪水となって画面全体へと溢れるかのようである。そして画面中央から下部へと配されるサン・マルコ広場に落ちる影は陽光に照らされるサン・マルコ寺院と対比するかのように青い色彩が用いられており、この補色的な色彩の対比は晴天の空模様と共に特筆に値する美しさを醸し出している。また寺院自体の形状描写はやや写実性を感じさせるものの、豊かで非現実的な色彩と軽やかで速筆的な筆触によって非常に現代的な感性を見出すことができるなど、本作には筆触分割を用いる印象主義的表現に疑問を抱いていた当時のルノワールの模索と探求が示されている。


【全体図】
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正面から描かれるサン・マルコ寺院の入り口。本作は1881年の10月にルノワールがルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオの作品を見る為にイタリアへ旅行した際、最初の滞在地となったヴェネツィアで制作された風景画である。



【正面から描かれるサン・マルコ寺院】
陽光によって光り輝くサン・マルコ寺院の丸天井。画面中央から上部へ配されるビザンティン様式による大聖堂建築の傑作サン・マルコ寺院は赤色、黄色、青色を基調としながらそれらの色彩が複雑に混合し合うことで多様な表情を見せている。



【陽光によって光り輝くサン・マルコ寺院】
サン・マルコ広場に落ちる青色の影。画面中央から下部へと配されるサン・マルコ広場に落ちる影は陽光に照らされるサン・マルコ寺院と対比するかのように青い色彩が用いられており、この補色的な色彩の対比は晴天の空模様と共に特筆に値する美しさを醸し出している。



【サン・マルコ広場に落ちる青色の影】

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