Description of a work (作品の解説)
2008/03/25掲載
Work figure (作品図)
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足を拭く浴女

 (Baigneuse s'essuyant la jambe) 1910年
油彩・画布 | 84×65cm | サンパウロ美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール1910年代を代表する裸婦像作品のひとつ『足を拭く浴女』。本作は画家がこれまでに幾度も取り組んできた≪水浴する裸婦≫を描いた作品の中で、晩年期に制作された裸婦作品の中でも特に代表的な作例として広く知られている。画面全体を使い大々的に描かれる本作の足を拭く裸婦は、赤味を帯びる透き通った白い女性の肌や、そこへうっすらと落ちる微妙な陰影、足を拭く白布、幻想的にすら感じられる背景の緑色や黄色など、色彩そのものが持つ力との相乗的な効果によって、車椅子生活直前(ルノワールは本作を手がけた翌年の1911年には体調の悪化により車椅子生活を余儀なくされた)に制作されたとは思えないほど生き生きとした健康美に溢れている。かつて「瞑想」と呼称されつつあったが、画家本人が「あの少女は何も考えていない、鳥にように生きている、ただそれだけである。」と否定した逸話でも示されるよう、本作でルノワールは喜びや愛情に満ちている裸婦の姿を描くでもなく、悲しみや苦悩に暮れている裸婦の姿を描くのでもなく、ただ女性(裸婦)の純粋な(内包的な)生命力と肉体的美しさを表現することに注力している。また画家の晩年期の特徴が顕著に表れる、本作の裸婦の圧倒的な肉体的質感と量感の描写は、ルノワールが生涯描き続けた女性美の極致を示すものであり、観る者が内面に抱く女性像(裸婦像)の心象や印象に(時として反面的にすら)訴えかけてくる。なお晩年期に制作された裸婦作品として本作以外ではバーンズ・コレクションが所蔵する『浴後』などが知られている。

関連:バーンズ・コレクション所蔵 『浴後』


【全体図】
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足を拭く女性の一点を見つめる視線。画面全体を使い大々的に描かれる本作の足を拭く裸婦は、赤味を帯びる透き通った白い女性の肌や、そこへうっすらと落ちる微妙な陰影、足を拭く白布、幻想的にすら感じられる背景の緑色や黄色など、色彩そのものが持つ力との相乗的な効果によって、車椅子生活直前に制作されたとは思えないほど生き生きとした健康美に溢れている。



【足を拭く女性の一点を見つめる視線】
赤味を帯びた肌色と白布の明瞭なコントラスト。本作でルノワールは喜びや愛情に満ちている裸婦の姿を描くでもなく、悲しみや苦悩に暮れている裸婦の姿を描くのでもなく、ただ女性(裸婦)の純粋な(内包的な)生命力と肉体的美しさを表現することに注力している。



【肌色と白布の明瞭なコントラスト】
幻想的にすら感じられる背景の緑色や黄色。本作の裸婦の圧倒的な肉体的質感と量感の描写は、ルノワールが生涯描き続けた女性美の極致を示すものであり、観る者が内面に抱く女性像(裸婦像)の心象や印象に(時として反面的にすら)訴えかけてくる。



【幻想的にすら感じられる背景色】

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