Description of a work (作品の解説)
2009/01/05掲載
Work figure (作品図)
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フェルナンド・サーカスの曲芸師たち(ふたりのサーカスの少女)

 (Au Cirque Fernando) 1879年
131.5×99.5cm | 油彩・画布 | シカゴ美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール作『フェルナンド・サーカスの曲芸師たち(ふたりのサーカスの少女)』。本作は印象派の先駆者のひとりエドガー・ドガと共にしばしば訪れていた、当時、人気の高かったパリのロシュシュアール大通りに店を構えるサーカスの団長(オーナー)フェルナンド・ワルテンベルクのふたりの娘フランチェスカとアンジェリーナの愛らしい姿を描いた作品である。1882年に開催された第7回印象派展では名称を『ふたりの姉妹』とし出品されていた本作では画面の中央から左右に演技を終えたフランチェスカとアンジェリーナが配されており、一方(左側)は観客に挨拶の仕草を見せ、もう一方は演技に使用した(又は観客が演技に喜び投げ入れた)オレンジを両手いっぱいに抱えている。ふたりの安堵的な柔らかい仕草と子供らしい純粋で愛らしい表情はサーカスの情景を描いたというよりも、むしろ肖像画に近いアプローチを感じさせる。無論、これらの点も特筆すべき内容であるが本作で最も注目すべき点は近代性を感じさせる表現様式にある。やや高い視点から描かれるフランチェスカとアンジェリーナを中心に円形のサーカスの舞台を配した本作でルノワールが集中して取り組んでいるのは豊かな色彩の描写であり、本来ならば床面に落ちるであろう陰影を全く描かず、多様的で輝くようなフランチェスカとアンジェリーナの衣服の色彩と黄土色の床の暖色的な調和性は観る者に心地よい色彩のリズムを感じさせる。また2人の姉妹の身に着ける衣服の(やや厚塗りされた)黄金色の豪華な刺繍と青白い白地部分の色彩的対比や、観客の黒い衣服との明確なコントラストは画面を見事な引き締める効果を生み出している。


【全体図】
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観客に挨拶をする少女の姿。本作は印象派の先駆者のひとりエドガー・ドガと共にしばしば訪れていた、当時、人気の高かったパリのロシュシュアール大通りに店を構えるサーカスの団長(オーナー)フェルナンド・ワルテンベルクのふたりの娘フランチェスカとアンジェリーナの愛らしい姿を描いた作品である。



【観客に挨拶をする少女の姿】
両手いっぱいに抱えられたオレンジ。画面の中央から左右に演技を終えたフランチェスカとアンジェリーナが配されており、一方(左側)は観客に挨拶の仕草を見せ、もう一方は演技に使用したオレンジを両手いっぱいに抱えている。



【両手いっぱいに抱えられたオレンジ】
やや厚塗りされる豪華な金色の刺繍。本来ならば床面に落ちるであろう陰影を全く描かず、多様的で輝くようなフランチェスカとアンジェリーナの衣服の色彩と黄土色の床の暖色的な調和性は観る者に心地よい色彩のリズムを感じさせる。



【やや厚塗りされる豪華な金色の刺繍】

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