Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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都会のダンス

(La dance à la ville) 1883年
180×90cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の中でも特に名が知られた大画家ルノワールが、光の効果を重んじ形状の正確性を失った純粋な印象主義に疑問を抱き始め、古典主義へと傾倒していった1880年代に制作された代表作≪ダンス三部作≫の一枚『都会のダンス』。『田舎のダンス』同様に画商デュラン=リュエルの家の装飾用に制作された本作は、画家の友人であったポール・ロートと、上昇志向が強かった都会的な女性シュザンヌ・ヴァラドン(当時18歳)をモデルに描かれた作品で、単純かつ洗練された構成、画面の中で溶け合うかのような人物と背景の一体感、明確な人物の形態、やや装飾的な表現など、光の効果的な表現や曖昧な輪郭、複雑な空間構成等が特徴であった印象主義時代とは明らかに異なる表現手法によって描かれているのが大きな特徴である。本作の優雅で洗練された雰囲気、上質なシルク地を思わせるハイセンスな本繻子のドレスを纏うシュザンヌの澄ました表情や慣れた仕草は、『田舎のダンス』と対照的に、喧騒とは程遠い都会的で上品な印象を観る者に与える。ルノワールはこの頃、シュザンヌと、『田舎のダンス』のモデルを務めたアリーヌ・シャリゴの二人に心惹かれていたとされ、画家がそれぞれに感じていた人物像や抱いていた想いが表現されていると考えられている。また本作が描かれた当時、シュザンヌ・ヴァラドンは後にエコール・ド・パリを代表する画家となるモーリス・ユトリロを身篭っていたことが知られている。なお画家は田舎のダンス・都会のダンスの両作品を描く前に、≪ダンス三部作≫の第一作目となる『ブージヴァルのダンス(ボストン美術館所蔵)』を制作している。

関連:ルノワール作 『田舎のダンス』
関連:ルノワール作 『ブージヴァルのダンス』


【全体図】
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【参考:『都会のダンス』部分】
本作は、画家の友人であったポール・ロートと、しばしば画家のモデルとなり、後に妻ともなるアリーヌ・シャリゴをモデルに描かれた作品である。



【すました表情】

【参考:『都会のダンス』部分】
本作の優雅で洗練された雰囲気、上質なシルク地を思わせるハイセンスな本繻子のドレスを纏うシュザンヌの澄ました表情や慣れた仕草は、都会的で上品な印象を観る者に与える。



【品位を感じる手先】

【参考:『田舎のダンス』部分】
単純かつ洗練された構成、人物と背景の一体感、明確な人物の形態、装飾的な表現など、印象主義時代とは明らかに異なる表現手法によって描かれているのが大きな特徴である。



【ハイセンスな絹のドレス】

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