Description of a work (作品の解説)
2008/04/19掲載
Work figure (作品図)
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立葵

 (Roses trémières) 1884年
65×54cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象派を代表する画家ベルト・モリゾ作『立葵』。1886年に開催された最後の印象派展となる第八回印象派展への出品作のひとつである本作に描かれるのは、ブージヴァルのプランセス通り4番地に借りた別荘の庭に咲く、アオイ科タチアオイ属の花≪立葵≫である。本作以外にもモリゾはブージヴァルの庭の風景を描いた作品を数多く手がけているが、本作で示される立葵の垂直性、直線性は特に注目すべき点のひとつである。画面中央の一番高く伸びる≪立葵≫を中心に、三角形に配される立葵の花は、左側では(やや桃色が差し込むが)ほぼ乳白色に、右側では中心が赤味がかって咲いている。この背の高い立葵の天に向かって伸びる垂直性は画面を引き締める効果を生み出しており、本作を観る者の視線を自然と立葵へと向けさせる。また画面右下には夫ウジェーヌ・マネがしばしば腰を下ろしていたという青く塗られた木製の椅子と丸机、そして如雨露(じょうろ)が置かれている。平凡な庭の風景をひとつの絵画作品として成立させた(モリゾが本作で示した)装飾性豊かな表現は他の作品と比較しても特に完成度が高く、見事の一言である。さらに画面全体を支配する緑色の多様性や、その中で差し色的な効果も発揮している立葵の赤色、画面右側に配色される空や椅子などの青色のバランスの良さも、画家の高い色彩感覚を示したものである。


【全体図】
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画面中央に配させる最も背の高い立葵。1886年に開催された最後の印象派展となる第八回印象派展への出品作のひとつである本作に描かれるのは、ブージヴァルのプランセス通り4番地に借りた別荘の庭に咲く≪立葵≫である。



【画面中央に配させる最も背の高い立葵】
ブージヴァルの庭に美しく咲く立葵。画面中央の一番高く伸びる≪立葵≫を中心に、三角形に配される立葵の花は、左側では(やや桃色が差し込むが)ほぼ乳白色に、右側では中心が赤味がかって咲いている。



【ブージヴァルの庭に美しく咲く立葵】
画面右端に配置させる青い木製の椅子と丸机。平凡な庭の風景をひとつの絵画作品として成立させた(モリゾが本作で示した)装飾性豊かな表現は他の作品と比較しても特に完成度が高く、見事の一言である。



【画面右端の青い木製の椅子と丸机】

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