Description of a work (作品の解説)
2007/08/04掲載
Work figure (作品図)
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イヴリーの夕暮れ

 (Soleil couchant à lvry) 1869-1873年頃
65×81cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の画家ジャン=バティスト・アルマン ギヨマンの代表作『イヴリーの夕暮れ』。1874年に開催された第1回印象派展に出品された3作品の中でも、最も著名な作品である本作は、クレテイユ郡に属するパリの南縁に隣接する市≪イヴリー=シュル=セーヌ≫にかかるセーヌ川の夕暮れの風景を描いた作品で、ギヨマンは生涯にわたりパリ近郊やセーヌ川の情景を描いているが、本作はその中でも初期(印象主義)時代の代表的な作品のひとつとして広く知られている。本作において最も特筆すべき点は、イヴリーとセーヌ川の自然的な風景の中に、当時パリやその近郊、郊外へともたらされた近代性の象徴として、川沿いに建設された工場とそこから排出される煙の対比にある。赤く燃え上がるような夕暮れの情緒溢れる情景や、それが象徴する自然、そしてそこに流れる(ゆるやかな)時間軸と対照的な、工場という近代的な建造物と、夕暮れ時も稼動し続けることを意味する煙突の煙が示した(急速的な)近代的時間軸は、戸外における自然(な光)の表現が持つ印象主義的思想と、機械化(近代化)によって豊かになる生活との、一方では反し(近代化による自然との対比)、一方では融合(近代化とそれがもたらした様々な影響は印象主義での表現様式において最も重要な要素のひとつとなっている)するギヨマンの複雑な思想・思考の表れと解釈する研究者もいる。また表現手法においても、大ぶりで力強い筆触による優れた光彩描写や、夕暮れが見せる風景の瞬間的な表情を捉えた表現、単純で簡素ながら鮮明で観る者の眼を惹きつける的確な色彩の使用は注目に値する出来栄えである。


【全体図】
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セーヌ川沿いに建設された工場と、そこから排出される煙。第1回印象派展(1874年開催)に出品されたギヨマンの3作品の中でも、最も著名な作品である本作は、クレテイユ郡に属するパリの南縁に隣接する市≪イヴリー=シュル=セーヌ≫にかかるセーヌ川の夕暮れの風景を描いた作品である。



【川沿いの工場と排出される煙】
大ぶりで力強い筆触による印象主義的描写。本作において最も特筆すべき点は、イヴリーとセーヌ川の自然的な風景の中に、当時パリやその近郊、郊外へともたらされた近代性の象徴として、建設された工場とそこから排出される煙の対比にある。



【大ぶりで力強い筆触による描写】
夕暮れが見せる風景の瞬間的な表情を捉えた色彩表現。大ぶりで力強い筆触による優れた光彩描写や、夕暮れが見せる風景の瞬間的な表情を捉えた表現、単純で簡素ながら鮮明で観る者の眼を惹きつける的確な色彩の使用は、注目に値する出来栄えである。



【風景の瞬間的な表情を捉えた色彩】

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