Description of a work (作品の解説)
2008/01/08掲載
Work figure (作品図)
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林檎に手を伸ばす子供(林檎に手を伸ばす赤ん坊)


(Baby reaching for an apple) 1893年
100.3×65.4cm | 油彩・画布 | ヴァージニア美術館

アメリカ出身の女流画家メアリー・カサットの代表作『林檎に手を伸ばす子供(林檎に手を伸ばす赤ん坊)』。本作は1892年に開催されたシカゴ万国博覧会(シカゴ・ワールズ・コロンビアン・エクスポ)内≪現代の女性≫館の壁画として制作された『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』の習作的作品である。残念ながら『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』は現在、消失しており、数点の写真が残されているのみであるが、それらから構図・色彩・画題的な比較をおこなった結果、本作が『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』の習作的作品として疑う余地はない。自然主義的な写実性を感じさせながら、人物の存在感と迫力を強調するかのような力強く明確な色彩や筆致は本作の中でも特に注目すべき点であるほか、殆ど奥行きを感じさせない平面(二次元)的な展開や、高い基礎画力を感じさせる正確な輪郭線は、日本の浮世絵の影響を如実に感じさせ、観る者を魅了する。また女性(母親)の頭部と子供(赤子)の頭部を重ねて配するという大胆な試みも、観る者の視線を自然と画面上部(そして子供がもぎ取ろうとする林檎)へ向けさせるという効果の点でも、表現的な新鮮さという点でも、画題における人物(母子)らの明確な繋がりを示すという点でも成功している。そしてそれらは母子らの視線の先で林檎を中心に交わらんとする手の動作の先導性はもとより、聖母マリアと幼子イエスが(多産・復活の象徴とされる)石榴を手にする姿を彷彿とさせる本作は、(当時としての)≪現代の女性≫への未来的象徴性も見出すことができる。


【全体図】
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重ねて配される女性(母親)と子供(赤子)の頭部。頭部を重ねて配するという大胆な試みも、観る者の視線を自然と画面上部(そして子供がもぎ取ろうとする林檎)へ向けさせるという効果の点でも、表現的な新鮮さという点でも、画題における人物(母子)らの明確な繋がりを示すという点でも成功している。



【重ねて配される女性と子供の頭部】
林檎を中心に交わらんとする母子の手。本作は1892年に開催されたシカゴ万国博覧会(シカゴ・ワールズ・コロンビアン・エクスポ)内≪現代の女性≫館の壁画として制作された『知識と科学の実をもぎ取る若い女性』の習作的作品である。



【林檎を中心に交わらんとする母子の手】
力強く明確なカサット独特の色彩や筆致。自然主義的な写実性を感じさせながら、人物の存在感と迫力を強調するかのような力強く明確な色彩や筆致は本作の中でも特に注目すべき点であるほか、殆ど奥行きを感じさせない平面(二次元)的な展開や、高い基礎画力を感じさせる正確な輪郭線は、日本の浮世絵の影響を如実に感じさせる。



【力強く明確な画家独特の色彩や筆致】

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