Description of a work (作品の解説)
2007/04/24掲載
Work figure (作品図)
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ヴァージナルの前に立つ女性


(Staande Klavichordspeelster) 1669-1671年頃
51.8×45.2cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

オランダ絵画黄金期の風俗画家ヨハネス・フェルメール後期の代表作『ヴァージナルの前に立つ女性』。本作に描かれるのはルネサンス・バロック期の音楽においてよく使用された撥弦鍵盤楽器チェンバロ(英名ハープシコード)の小型版である≪ヴァージナル≫と、その前に立つ女性で、1660年代の作品『ヴァージナルの前の二人』や『合奏』などでも描いた(画家お馴染みの)音楽的モティーフを扱った作品である。本作はそれらの作品と比較してみると、女性の衣服の粒状の光の表現や、鋭角的でやや硬質的なスカートの描写、(本作と)同時期の作品『レースを編む女』に見られる、飴が溶け滴るかのような流々とした質感的表現などに単純化かつ様式化された画家の作風的変化が示されている。しかしながら、窓を背にする女性の前半身にかかる陰影の中にも柔らかな光を感じさせるフェルメール独特の清潔感に溢れた光彩表現は、この頃の画家の作品では他に類をみないほど秀逸の出来栄えである。画中画にはヤン・ウェイナンツ風の風景画を2点と、ファン・エーフェルディンゲンによる『仮面を踏むキューピッド』、もしくはオットー・ファン・フェーンの銅版画の中の一枚『完全なる愛は只一人のためのもの』に着想を得たと推測されるキューピッドの絵が飾られている。

関連:フェルメール作 『ヴァージナルの前に座る女性』


【全体図】
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陰影の中にも柔らかな光を感じさせる独特の表現。窓を背にする女性の前半身にかかる陰影の中にも柔らかな光を感じさせるフェルメール独特の清潔感に溢れた光彩表現は、この頃の画家の作品では他に類をみないほど秀逸の出来栄えである。



【陰影の中にも光を感じさせる光彩表現】
単純化かつ様式化された画家の作風的変化。女性の衣服の粒状の光の表現や、鋭角的でやや硬質的なスカートの描写、(本作と)同時期の作品『レースを編む女』に見られる、飴が溶け滴るかのような流々とした質感的表現などに単純化かつ様式化された画家の作風的変化が示されている。



【単純化かつ様式化された作風】
愛の象徴であるキューピッドが描かれた画中画。本作に描かれるのは撥弦鍵盤楽器≪ヴァージナル≫と、その前に立つ女性で、1660年代の作品『ヴァージナルの前の二人』や『合奏』などでも描いた音楽的モティーフを扱った作品である。



【キューピッドが描かれた画中画】

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